日刊せみなりーBLOG

尾道にて②

更新日:2019/04/27

視察で尾道に来た。
お会いしたのは、

NPO法人尾道空家再生プロジェクト代表の
豊田さん。

尾道は
言わずと知れた観光地だが、

一時期は、
これからどーすんの?

という、
ドヨーンとした時期もあり、

今の観光スポットの
千光寺から下の急斜面には

400件もの空家があって
歴史ある建物も、

瀕死の重傷状態だったらしい。
豊田さんは、

尾道生まれの尾道育ちで、
御多分に洩れず都会に憧れて大阪に出たが、

都会は合わない!
尾道に帰る!

と、戻ってきたら、
尾道は、

そのどよーん状態で、
よし!

と思い立ったのが、
貯金をはたいて、

一軒の空き家を買うことだった。
それが、

尾道のガウディと呼ばれる建物だ。
豊田さんは、何度も言った。

『組織を作るつもりはなかったんです』

でも、
彼女のところには、

同じ思いの若者が集まり、

この10年間で
NPOが携わった建物は、

300件を越えるまでになった。

私は今回、
この豊田さんの活動から学ぶために尾道に来た。

でも、
彼女にとっては

いつもの活動であり、
事業のひとつで、

案内料は、
5人まで一万円。

無料の観光案内人の方々もおられるが、
NPOの培った歴史から、

その案内のあり方も面白い。
だから、

ロープウェイには乗らず、
坂道を歩く歩く。

『足が大変でしたら言ってください。
はしょりますから』

いえいえ、
大丈夫です!

結局3時間、
尾道のマチを登り下り、

尾道水道を眼下に、
尾道の生きている古い建物を見、

尾道の優しい空気に触れた。

この間、
豊田さんは多くの方々と

挨拶をし、
会話をされていた。

そのほとんどが
移住してきた方々だった。

で、
全員、お若い。

夫婦連れも子持ちもおられる。
海外から定期的に創作活動のために

来られている方もいた。
皆さん、

豊田さんを
頼りにしている様子が伺えた。

それにしても、
滅多にないほどの急勾配の坂道に

ボットン便所で
多分、風通しの良すぎる建物を借りて、

子育てしようとする若者が
日本にはまだこんなにいるのか!

と、
驚いた。

私自身の制限が
小樽の民家再生を阻んでいる要素も

あるなあ、
と、

気づいた一瞬だった。

尾道を歩き、
豊田さんと話し、

マチづくりを成功させる秘訣が
わかった。

人である。
そのマチを愛し、

必死に動く人、
その『人』が一番大切なのだなあ。

事業家としての豊田さんも
素晴らしいと感じたが、

彼女いわく、
『この活動で食べていく人が増えて、

必死で事業を作りました。
そしたらまた増えて。

こんなに
大きなことをするつもりはなく、

主婦のおこずかいの範囲でやろうと
思っていたのに』

尾道にお越しの際は
NPO法人尾道民家再生プロジェクトの

特別案内人をお試しアレ。
学ぶこと多しのマチである。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。

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