日刊せみなりーBLOG

秋の始まりに

更新日:2019/10/20

感動2日目。
今日は夫に誘われて、

ハンディキャップを持つ方々の
演劇を観に行った。

ダウン症の3人の方々が
俳優になりたい!という夢を叶えた。

プロの脚本家の指導のもと、
3人は、1時間で6本のショートコントに

挑戦した。
その中の一人M君は、

スキーの腕前も大したもので、
数多くの競技にも出場している。

同じマンションの住人なので
小さい時から知っているが、

当たり前に
私なんか比べ物にならないほど、

スキーが上手い。
そのM君が俳優になりたいと思い、

仲間を募って
練習をし、

その成果の発表日なのだ。
場所は、リフレという小ホール。

客席は500ほどだ。
私と夫は、

日曜日は、
アルツハイマーでホームにいる母を訪ねる日。

迷ったけれど、
母も一緒に連れて行くことにした。

母に、

『お隣のM君が出るの。
ダウン症のみなさんの演劇なのよ』

と伝えると、
母は涙ぐんで『えらいね』

と、
言った。

私たち3人は
何だかんだと手間取り、

時間ギリギリに
会場に入ったら、

当日券の方も多くおられて、
満席だった。

母は、立ち席は無理だ。
困ったなあ。

と、
立っていたら、

一番前の一番端の方が
席を譲って下さった。

ありがたくお礼を言って
母を座らせ、

私は横に立って舞台を見ていた。

ユーモアたっぷりの台本の
ショートコントだった。

M君は本格的、
相棒のIちゃんも上手い!

ダウン症は
発音が聞き取りにくくなりやすいから、

これだけちゃんと言えるのは
すごい。

おまけに
動きのキレが良い。

その辺のお笑いより
はるかに面白く、

普通に笑った。

普通に笑ったという表現は
おかしいかもしれなおけれど、

知的障害者の演劇、
と、表現し、

本人たちも
『知的障害を持っています。』

と、
言える人たちだ。

自分たちの障害を受容した上で
最高の演劇に向かう。

観る側も
その障害を認識した上で

心から楽しもうとしていた。

最後に出た一人S君は、
まだ新米のようで、

時折セリフを忘れそうになり、
M君やIちゃんが助けていた。

終了すると
客席から多くの方が

花束を持って
3人に渡しに行った。

それを見ながら
疲れが限界の母を連れて

私たちは先に席を立った。

1時間の間、
母はよくわからないような感じだった。

ショートコントを
理解するのは無理だったか。

車に乗り、
夫と、『面白かったね。すごいね』

と話していたら、
後ろの席から母のすすり泣きが聞こえた。

びっくりして、
どうしたの?と聞くと、

母は、
『大丈夫だよ』と答えた。

母の顔は幸せそうだった。

母は、
ショートコントはわからなかったけれど、

あの場の
なんとも言えない綺麗な空気に

きっと心が感動したのだ。
私もそれを感じた。

あれほど邪気がない空気も
珍しいと思った。

昨日は、
旧寿原邸の優しい空気に感動し、

今日は、
この演劇の場に心が洗われた。

私の今年の秋の始まりは
最高のようである。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。

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