日刊せみなりーBLOG
うるるん・・・・
更新日:2010/10/28
日高地方の山の調査に行ってきた。
何年に一回だが、山の木の調査をする仕事がある。
当たり前に道はなく、急斜面をよじ登り笹をくぐり沢を歩く。
『むつみさん、途中で歩けないなんて言ったらだめですよ。
熊が出るところに一人で置いて置けないんですから・・
熊に食われます・・・』
今回は参加しないカッコマンH君に釘を刺された。
今の時期は熊も出るから、社内業務目標は“安全第一!”だ。
今回はモゴモゴN社長、ラガーマンM君、ビベロYちゃん、むつみさん、
そして助っ人軍団!
『この辺から登るんだと思うんだけど・・・・』
担当者のむつみさんも頼りない返事だが、
地図と実物は、活字と写真位の差があるから仕方なし。
『おら、行くぞ~』
モゴモゴN社長が先頭になり、川を渡る。
暫く行くと笹だらけの斜面・・おいしょこらしょよっこらしょ・・・
『あ・熊の糞だ・・・・・まだ、新しいな・・・・』
モゴモゴN社長が見つけて・・・
全員・・・・ぞおおおおおおお・・・・・
付けている熊鈴を、リンリン!リンリン!
百金のホイッスルを、ピーピーピー!!!!!!
携帯ラジオを前と後ろで、“本日の株価は・・・”。
『何~ここを下るのか~?』『ここを登るんですか~』
熊も怖いけど、急斜面も恐ろしい・・・・
兎に角下り、『一番足手まといの私が登れたら大丈夫だね』
笹に摑まり、ぐいっ!ぐいっ!ぐいっ!
この時ほど、笹を頼もしいと思ったことはなかった・・・
毎日熊の糞に会い、道にも迷い・・・悪戦苦闘の三日目は雨だった・・
『よし!あと一箇所調べたら今日は終わりだ~頑張るぞ~』
ラガーマンM君に発破を掛けられ、『よお~し!』再び川を渡り・・・
・・・『おい、ここしか登るところはないのか・・・・』
モゴモゴN社長が見上げた先は45度以上の超急傾斜、
おまけに左右も急傾斜で登られるところは60センチ位しか幅がない。
『頑張るよ!みんな~』
ラガーマンM君が先頭になり、助っ人軍団が続き、
むつみさんの後ろにはモゴモゴN社長・・
『もう少し、足が上がらないのか?あと15メートルくらいだ、がんばれ!』
モゴモゴN社長がむつみさんの後ろからお尻を押してくれるが、
頼りの笹は10センチ位で頼りなし・・雨で地面はすべり・・・
(だめだ・・ここは登れない・・)
『私は無理!ここで待っているから行ってきて、
私に時間を取っていたら間に合わなくなる・・』
『大丈夫か?』と言うと、モゴモゴN社長もやっとの事で登っていった。
みんなが消えた後、暫くはホイッスルやラジオ・・爆竹の音が聞こえていたが、
そのうち、あたりは静まり返り・・・・さわさわ・・さわさわ・・・風の音・・
幅60センチの急傾斜地の中腹で、一人木に摑まり・・・
(きっと、すぐ来るわ・・大丈夫!熊も急傾斜地は嫌いだろう・・)
なんて慰めつつも、あたりはどんどん薄暗くなり・・
何度も地図を出しては、(もう、調査は終わった頃・・・のはず・・・)
何度も上を見ては、みんなの音が聞こえないか耳を澄まし・・・1時間・・・
『むつみさ~ん、生きていますか~』
突然、明るく元気なビベロYちゃんの声が聞こえた。
『ビベロYちゃん~生きているよ~滑るから気をつけて~』
と、むつみさんは叫びながら・・思わず目がウルウルだった。
後で、モゴモゴN社長から聞いた。
『調査が終わって、急いで戻ろうとしたら、
俺より先にビベロYちゃんが“むつみさんが心配”と駆け出したんだよ』
余計にウルウルだ~
最後にラガーマンM君が申し訳なさそうに言った。
『むつみさん、来年からは山の調査には来なくていいですよ』
・・・・・・ありがたい・・・・・