夕方１７：３０分、カッコマンH君の携帯がプルルン♪プルルン♪

『今日はSちゃんのお迎えなの？』

カッコマンH君の奥様Rさんがお仕事で保育園のお迎えが出来ない時は、

カッコマンH君がお迎えに行く。

保育園の送り迎えを経験した事のある人は、その大変さが分かると思うが、

仕事をしていると時間に気付かず、

『あ！やばい！時間が過ぎている！』ってな事もある。

むつみさんも3人の娘達が保育園に行っている時はたまにあった。

何事にも慎重なカッコマンH君はそのような事が無いように、

必ず携帯電話のアラームを仕掛けているようだ。

暫くすると・・・・

お父さんの後ろに隠れるように、愛娘Sちゃんが会社に帰ってくる。

『お帰り～Sちゃん・・』　『ただいま～』

保育園の年長さんだから、もうしっかりしているSちゃんは、

チョコチョコっとお父さんの椅子に必ず後ろ向きに座り、社内を眺める。

笑いかけると恥ずかしそうにニコッとして、また社内を見渡す。

時々、椅子を回しながら、なんだか得意げだ。

きっと、お父さんの椅子に座る事が大好きなんだと思う。

働くお父さんが、大好きなんだと思う。

そして、カッコマンH君が仕事を始めだすと、今度は隣に座る。

ノートﾊﾟｿｺﾝでビデオを見たり、お絵かきをしたり・・

行儀よくお母さんが帰ってくるのを待っている。

『あれ？ビベロYちゃん～この絵、Sちゃんが書いたの？』

ビベロYちゃんの机には、Sちゃんが書いた“お姉さんの似顔絵”が貼ってある。

『そうなんです。書いてくれました。』

Sちゃんは若いビベロYちゃんが好きらしい。

またカッコマンH君の携帯が鳴った・・仕事が終わったRさんが迎えに来たようだ。

Sちゃんは嬉しそうに帰りかけ・・ドアのところでクルリと振り返り、

『さようなら』と言う。

『Sちゃんは、お母さんのRさんに似てかわいいよね～』

『俺似です』

そういうカッコマンH君も嬉しそう・・

Sちゃんが大きくなった時、この会社のことを覚えているだろうか？

自慢のお父さんの椅子から見た風景を・・・

きっと、素敵な女性に育つよ、Sちゃん～