日刊せみなりーBLOG

是非是非・・・

更新日:2011/01/20

本屋さんに入った時、
(ここですよ~)と本の方から手招きされる事がある。

読んでみようかな・・・

そんな本はいつも私を裏切らない。

昨年の秋、札幌地下街の紀伊国屋書店で、また 手招きされた。
本のタイトルは『壊れた脳 生存する知』、作者は山田規く子さん、

山田さんは整形外科医だったが、脳出血を三回起こし、高次脳機能障害になった。
後遺症はかなりあったが、パソコンで書く能力は残った。

回りの方たちの協力を得ながら、
高次脳機能障害は 本人にとってはどういうことかを、
分かりやすくそして明るく表現している。

衝撃的だった。

現在、脳外科は進歩し、
昔は亡くなったであろう状態の患者さんを助ける事が出来るようになった。

しかし、大きな障害が残る場合も多くある。
そんな、《高次脳機能障害》がどんなことなのか、
素人だけではなく、医療従事者さえ理解出来ていないのではないだろうか・・

家族が脳梗塞等で障害を持った時、
家のリフォームの相談を受ける事がある。

手すりは何処につければ、安全で使いやすいか?
ドアはどうすれば、いいのか?
お風呂はどうすれば、いいのか?

“家”という、生活を営むところのハード面の改善は、
障害を持った本人にも家族にも とても大切な事だ。

でも、その時 《高次脳機能障害》はどういうことか、を理解していないと、
《なんで、お母さんは昔のことしか言わないの?頭がおかしくなったの?》
《なんで、一人で勝手に動くの?何度もいったでしょう?》
《なんで、・・・なんで・・》

と、前向きのリフォームのはずが・・・
家族の負担感にしかならない事が多い。

本には、好みが出る。
だから、自分の面白かった本を人に薦める事は好きではない。

でも、この本だけはより多くの方々に読んで欲しい。
何時、家族が高次脳機能障害になるか、いや、自分がなるか分からない時代だ。

高次脳機能障害になることは、人間の尊厳がなくなることではない。
看護婦時代にこの本が、あったら・・・
心から・・自らの至らない看護を反省させられた。

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