会社の玄関を出て駐車場を見たら、

文章マシーンA子さんが車の前で腕組みし、
怒っているお母さんの顔をして立っていた。

駐車場では文章マシーンA子さんの6歳の愛娘Rちゃんと小５愛息子S君が、
何やら一生懸命拾っている。

『どうしたの？何を拾っているの？』

『子ども達がお菓子を駐車場にばらまいて、
そのままにして帰ろうとしていたので怒ったんです。』

お母さんに叱られた子ども達は神妙な面持ちで、
小さなお菓子を一生懸命に拾っているが・・

黒いアスファルトに広がった小さい黒いお菓子は、
むつみさんには見えない・・・・

はて、なんのお菓子なのかしら・・・

『▲○■です・・』
文章マシーンA子さんが教えてくれたが・・

聞こえない・・。

なんだか、昔を思い出した。
うちでも似たようなことがあったような・・・・。

三人の娘達と怒っている私・・
それを見ている私の祖母・・

『あらあら、みんな目が良いね～若い人はいい、
ばあちゃんには何にも見えないよ～』

怒っている私は、（そういうことじゃない！）
と思った記憶がある。

でも、きっと祖母は本当にそう思ったんだと思う。

（こんな小さい物が見えるなんて・・うらやましい・・）

RちゃんやS君のちゃっちゃっちゃと見つけてはしゃがんで拾い、
立って捜してチャッチャッチャと拾う姿の早いこと・・

（あら、しゃがんで立つのも余裕だわ・・）

6歳と10歳の子どもと比較するのがおかしいか・・・

『まあ～よくそんな小さいものが見えるね～
むつみさんには見えないわ～』

腕組みをして車の横に立っていた文章マシーンA子さんが苦笑した。

あ・（そういうことじゃない！）・・か。