『むつみさん、
メタボ脱出H常務からメールが来ました。

地上100メートル、命綱1本で見る東京の景色ですって』

文章マシーンA子さんが言った。

メタボ脱出H常務は、
東京の建物検査に行っている。

高層ビルの外壁検査だ。
今回は赤外線検査と打診検査を同時に行なう。

うちの会社は赤外線を使って、
ビルなどの外壁の劣化状況を調べるのが得意、

でも時には命綱一本でぶら下がり、
ポンポンと外壁を叩きながら検査する事を同時に頼まれる・・

『100メートルだよ、100メートル・・』
・・・・・私は見てはいられない。

多分、下から見上げた時点で卒倒だ。

『ねえ～それ、
どうしても引き受けないとだめなの？』

気乗りがしない・・
自分が行くわけでもないのに・・

『それは、引き受けるしかないでしょう！』

スケジュール調整役カッコマンH君も、
メタボ脱出H常務も・・やる気満々・・

で、

早速・・・
メールで100ｍからの景色を写メしてくれたんだけど・・

『むつみさん、この写真なんですが・・

悪いけどただの東京の景色ですね。
臨場感がない・・』

文章マシーンA子さんは、正直だ。

地上１００mから写した写真は、
よくあるビル群を上から見た写真だった・・・・

あああ・・・メタボ脱出H常務・・
人・・人ですよ・・・

写真の中に、
ぶら下がっているカッコマンH君を入れたなら・・

『キャアー！』
私はすぐ様・・・

東京に飛んで行き・・・
二人を連れ戻したでしょうに・・・・・

くれぐれも、気をつけて・・
無理をしないでね・・・

しかし・・・それにしても・・

『臨場感がない写真・・』と、
媚びずに言える文章マシーンA子さんが、

私は好きだ・・・ふふ・・