『あれ～小学校の卒業式って、いつだったかな～、
平日ですよね～

俺も行かないとだめですよね～』
ホンワカH君はそう言いながら予定表をパラパラ・・

ホンワカH君の愛息子T君は、
今年小学校を卒業する。

『早いね～
生後６ヶ月のTを連れてSちゃんが、

スキーに来た時が、
T君との初めての出会いだったね。

あんまり、
ホンワカH君とT君が似ているもんだから、

メタボ脱出H常務が、
Sちゃんに“ホンワカH君の奥さんですよね？”ってスキー場で声をかけて・・・』

ホンワカH君は中途採用だった。

8月に入社決定、
その1週間後にT君が生まれた。

私達は、愛妻のSちゃんに、
その社員スキー旅行で初めてあった。

年子のお姉ちゃんYちゃんとT君を連れてのスキー旅行は、
大変だったと思うが・・・

頑張ってSちゃんは来てくれたのだ。
『いつもKちゃんは、

モゴモゴN社長は・・むつみさんは・・って、
会社の事を話してくれます。』

Sちゃんは、夫ホンワカH君のことを、
Kちゃんと呼んでいる。

それから、Sちゃんは毎年スキー旅行に、
Yちゃん、T君を連れて参加してくれていた。

ホンワカH君に瓜二つのT君を見ては、
『ほんと！そっくり！』

みんな、T君の成長を楽しんだ。
そのT君が小学校を卒業するのか・・・

Sちゃんが二人目を妊娠中に、
転職をしたホンワカH君、

ホンワカH君の思いは聞いたことがあるが、

その時のSちゃんは、
どんな思いだったのだろうか・・・・

『まあ～大変でした。
就職が決まらないうちに退職をしたので、

トイレをしにコンビニに入っても、
トイレだけ・・缶コーヒー一つ買えなかった。』

それでも、Sちゃんは、
夫の気持ちを優先して支えたのだ。

『卒業式には、そりゃあ行った方がいいでしょ』

卒業式で、
ホンワカH君瓜二つのT君を見つめる、

ホンワカH君とSちゃんの姿が目に浮かぶ。
ハローワークの紹介で、

あの日、ホンワカH君は現れた。
一人の採用に、

5人以上応募があったと思う。
モゴモゴN社長が言った。

『ホンワカH君を採用しよう。
奥さんが二人目を妊娠中だと言っていた。

通知を出す前に電話をして安心させよう。』
『補償セミナリーですが・・』

あれから、12年・・・・・だ。