仕事の途中で家に戻り、
めがねを外した。

（きゃあ！急がなきゃ～）
で、会社に戻ったら、

メガネをし忘れていた。

メガネをかけて、半年目・・
まだまだ・・癖になりきれていないようだ。

が・・目は・・なりきっていた。
近視に乱視・・チョビット老眼。

0.1の視力は、
（よくこれで生活していた！）と思うほど、

な～んにも見えない。
メールにアドレスが記載されていたが、

見えない。

『優しいビベロYちゃん～これ、
なんて書いてあるの？』

『mn●●・・です』
『ありがとう～』

やれやれ・・・だ。
見えるようになると、

見えないことがなんと不自由な事か・・。

ふと・・昔昔・・看護婦時代、
白内障の手術をした祖母が、

『むつみ！もの凄く見えるよ！
あんたもシワが増えたね～』と、

お見舞いに行った私に、
はしゃいで話していたことを思い出した。

その頃、
白内障の手術に保険は効かなかった。

確か、
一眼10万円位の費用負担だったと思う。

私の働いていた病院では、
保険適応にするように署名を集めていたが、

『後、何年生きられるか分からない老人に、
そこまでお金を掛ける必要はない』

と言うのが、
保険が効かない理由だった。

祖母の手術から数年後、
白内障の手術は保険適応になり、

今は多くの方が利用している。

たった、0.1の近眼・乱視・老眼のくせに、
なんだけど・・

見えないことって・・
なんと不自由なことか・・

あの時の、
祖母のはしゃぎ方が分かった気がした。

家に帰ってメガネをかけ、
なんとなく、鏡の前でシワを捜した・・

が、
自分の目ばかり見るから・・

シワは見えなかった。