7月2日は結婚記念日だった。
残業しながら・・・

『あの～今日は結婚記念日なんですけど～』
夫も兼ねるモゴモゴN社長に言った。

『あ～そうか～じゃあ、外食するか～』
お疲れ夫婦、街に出かける時間でもないし・・

『川沿の暖龍にする？』
二人で15分ほどお散歩しながらお店に向かった。

歩きながら夫が言った。
『もう34年か～

初々しさは、
もう思い出すことさえ出来ないね～』

はあ～？
結婚記念日に喧嘩を売る気？

とは言うものの、
私も初々しさは思い出せない。

（せめて、今日は優しい言葉を使おう！）
で・・乾杯～

したが、
夫はしんみり顔で言った。

『いつまで一緒にいられるのかね～
俺、一人で暮らすことなんて考えられないな～』

『それは困るよ～
どっちが先に死ぬか分からないんだから・・

女性は一人になったら、
自宅で暮らしてサービスを受けようとか、

いやいや高齢者専門アパートがいいとか・・
結構考えているよ、

人によっては、
葬式の出し方とか遺言の書き方とか、

勉強している方も多いのに・・
奥さんがそんな話をしていても、

旦那さんは知らん振りが多いもの・・』
これは、本当だ。

建物検査をして、
大型リフォームを考えている方々の奥様は、

真剣に老後を考えるが、
だんな様はどこか人事だ。

『でも、まあ、とにかくまずは、
元気に40周年を迎えられるように頑張ろう～』

『そうだね、
次は77歳、80歳の共白髪を目指そうか～』

やっぱり、
夫を一人にするのはかわいそうかな・・

34年前、
初々しかった妻は、

なぜか逞しくそう考えた・・・。