昔、看護婦をしていたせいか、
身体に例えて話すことが多い。

『あら！外壁が板材なんですかあ~
豪華ですね、高かったでしょう。

でも、手入れも大変ですね。
定期的に塗装をしないとダメですもんね。』

行きつけの美容院でのマスターとの会話だ。
マスターは私の髪を洗いながら言った。

『そうなんです。
でも、建てた時は気がつかなくて、

修繕積立金はしていなかったから、
自分で塗りました。』

そう！
マンションは強制的に積み立てるけど、

一軒家は中々出来ない。
結局、そのまま手入れなしになりやすい。

『マスター、人間と一緒よ、
私みたいに、３、4ヶ月に一回しか美容院に行かず、

真っ白な髪をボサボサにしていても、
毎日眺めていると、

その汚さに気がつかなくなって
平気で人前に出ちゃう。

家も毎日少しずつ塗装がハゲるから、
住んでいる人は、なんとも思わなくなるんです。』

『中野さん、本当にそうですね。
慣れちゃう。誰も、

ひどい髪になっているなんて言ってくれませんから。』
マスターは私の髪を拭きながら言った。

『そうなのよね~だから、
私に、髪の手入れは人前に出る身だしなみと、

言って下さった先輩の一言は重要です。』
私はその先輩の忠告を守って二ケ月半で美容院に来たのだ。

わたしとしては、早くに来た！感…

ボサボサの白髪頭はマニュキアで焦げ茶色に変わり、
サッパリとしたショートカットになっていた。

『なんだか、若返った感じ！』
だから、月に一回は来た方がいいのだが…

家も人間も、身だしなみは大事だ。
（まだ、見られる）と思っているのは自分だけだと、

認知しよう…