このお正月休み、
長野県に住む10歳の孫は膨大な宿題を抱えてやってきた。

毎日母親に、
『宿題を先にやりなさい！』

と怒られつつ、
算数・国語・理科・図工・体育・・

因みに、
体育の宿題は縄跳び30回だった。

よく頑張って、ほぼ遣り上げたが、
一つだけ出来なかったものがあった。

それは、お月様の観察、
1時間おきに位置を調べてスケッチしなさい。

というもの・・・
夜はじじと楽しい時間、大人も騒ぐから後回しになった。

そして、渋々始めようと思ったら、
雪若しくは曇りだ。

『北海道でこれは無理だよ・・』
母親はそれでも毎日『やりなさい』を言い続けたが・・

結局、
『今の時期、お月様は夜中にならないと出てこないよ』

と、
中学校の理科の教師をしている三女に言われ、

その宿題のみ、長野に持ち帰った。
『年末に来てすぐやったら出来たかもしれないのに・・』

私は思ったが、後の祭りだ。

大人でも子どもでも、
宿題はやりたくないもの、嫌なもの、手間がかかるもの、

から、始める方がいい。
昔、チェックマンＡ子さんに誉められた事がある。

『むつみさんは、嫌なことを後回しにしないですね。
真似たいと思いますよ。』

嬉しかったが、
私は早く楽になりたいだけなのだ。

心の奥に引っかかっていると、
なにせ、楽しくない。

ならば、さっさとやった方がいい。
だから、『嫌な事は先にやっちゃいな』

は、よく言う言葉になった。
特に、嫌なことは人との関係、

例えば、
給与計算をしていたときの事、

『ぎゃお～ん！年末調整を間違った！』
既に支払ったお金を返して貰わなければならなかった。

それも、かなりの大金だ。
言いにくい・・・。

例えば大昔、
看護婦時代、『ごめんなさい。何回も刺して・・』

やっと終わった採血なのに、
取り忘れがあって、

もう一回採血をしなければならない時。
もうちょっとたってから、言いに行こうか・・

いいえ、早い方がいい・・

謝って、謝って・・
ドキドキしながら針を刺す。

嫌なことが終わったあとは、
心が軽やかだ。

長野に帰った孫は、
夜中のお月様の観察が出来たのだろうか？

長野の冬休みは、今日で終わりだ。