日刊せみなりーBLOG

初めての経験・・

更新日:2013/01/11

昨日、
小樽で、素晴らしいものを見せて頂いた。

【和光荘】だ。

【和光荘】は、大正11年、
北の誉酒造株式会社二代目社長野口喜一郎氏の住宅として建築された。

現在は、株式会社秀映社が所有し、
野口喜一郎氏のお孫さんにあたる野口禮二氏が管理されている。

一般公開はしていない建物だが、
縁があり見せて頂いた。

『どうぞこちらへ』
重厚な玄関を入り、目パチクリの中、

玄関左手の応接間に案内されたが、
(ここは私が立つ場所ではないな・・)

気遅れを通り過ぎて、
開き直りになる感じ・・。

『どうぞ、お座りください』
と言われた椅子は、緑のベッチン?で織り模様が施されてあった。

座ったが、落ち着かない・・。
高貴な椅子は私が気に入らなかったようだ。

野口社長は、暫く和光荘についてお話をされた後、
『こちらの椅子は昭和天皇が座られた椅子ですよ』

と、何気なく仰った。
私が座っているすぐ横に、

その二つの椅子は、
こちらを見ているように並んであった。

『では、内部をご案内致しましょう』
板張りの廊下、階段は磨きこまれている。

塵一つ落ちていない。

『こちらは、昭和天皇、皇后両陛下がご宿泊された和室です』
和室の壁は紅殻色、二間続きで温かさが感じられた。

その二間の和室を囲むように、三方に広縁があり、
その和室側半分はタタミが敷かれ、

半分は板張りだ。
『タタミの所はお客様が歩くところ、

板張りは家のものが歩くと聞いております。』
言葉も出ない。

『では、佛棟にご案内します』
昭和6年に増築された佛棟は、

広縁から斜めの階段で上がっていく離れである。
現在も野口家のご先祖様が奉られており、

現在も毎月お坊様がお参りをされていると言う。
総檜つくりで釘を一本も使っていないその佛棟は、

これが個人が作ったものであること自体が、
信じられないほどの威厳に満ちていた。

この後、案内していただいた全ての部屋が、
驚きであり、畏怖の念すら湧くものであった。

(やっぱり、ここは私の立つ場所ではない。)

4時間ほど、見学とお話をお聞きしたが、
私は初めて、(建物が住まう人、使う人を選ぶのだ)

と、実感した。

和光荘を後にし、
JRの椅子に座った途端、私はいいようのない疲労感に襲われた。

和光荘には和光荘に見合った生気がいるようだ。

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