『船頭多くて船、山に登るです』
現場から帰ってきたラガーマンM君が言った。

一昨日から、
ラガーマンM君、ビベロYちゃん、モゴモゴN社長の三人は、

当麻町に行っていたのだ。
補償業務の仕事は多岐に渡るが、

その一つに、
事前事後調査というのがある。

道路工事が多いが、
その工事をする事によって振動などにより、

周りの家屋が傷んだのか、
もともと、傷んでいたのか調べる調査だ。

『壁のクロスに亀裂！何センチ！』
黒板に書いて傷とともに写真に撮る。

これを工事の事前事後で行う。
この調査、

傷を見つけるプロ、
黒板に言われた事を書いて傷の横に立つ人、

写真を撮る人の三人で行うのが一番良いが、
字が書けて写真が撮れたら、

後二人はプロでなくても良いから、
管理部門の早や打ちKちゃんや学生バイトが入ることもある。

が、
今回はプロ三人でチームを組んだ結果、

船頭多くて船、山に登ったらしい。

なんてったって、
モゴモゴN社長もこの仕事をずーーーーとやってきた。

ラガーマンM君は、補償のトップ、
ビベロYちゃんは4年目でも、

『普通の会社の3倍は働かされているから、
実力は10年選手』

だから、船頭3人・・船山・・か。

そういえば、昔看護婦時代、

患者さんが急変したり、
重症の急患が運ばれてきた時、

リーダー各のお医者さんが複数いると、
あっちこっちから違う指示が飛び交い、

『どっちを先にするんですか！』
と、看護婦はどなったものだ。

どんな現場も、戦場だ。
社内なら話し合いも出来るけど、

待った！なしが現場だから、
船頭は一人の方が良い。

どうして、
ラガーマンM君が船頭にならなかったのかな？

無理か、モゴモゴN社長に、
いまやベテランの風格のビベロYちゃん。

間に立って、
気を使っているラガーマンM君の姿が目に見えるようだ。

やれやれ、三人とも、
ご苦労様でした。