昔、私が小学生の頃、
行きつけの小児科があった。

小さい時から、通い慣れた小児科で、
優しい女医さんだったが、

大流行りで、
いつも待ち時間が長かった。

母は、
『みんな、長く話しすぎるのよ、

でも、自分の番になると、
やっぱり心配事を多く聞いてしまうから、

お互い様ね。』と、よく言っていた。

同じ気持ちを、昨日感じた。
ただし、病院ではなく、【回転寿司】で。

しばらく、休業していたその回転寿司屋さんは、
予想通り、大混みだった。

『ボックス席でお願いします』
『一時間程お待ちになると思いますが、よろしいですか』

もちろん、待つ覚悟だ。
三女家族と一緒に、じっと待つ。

(カウンター席は、回転が早いわね)
(あら、ボックス席はまだ、食べている。)

目は、パクパク食べるお客に行く。
お腹が空いてくるから、待つ目も泳ぐ。

そのお店は、ボックス席一回転で、
カウンター席が三回転した。

(まあ、皆さん、ゆっくりだこと、待っている人が多いのに)
ついつい、ボックス席を見つめてしまう。

で、
やっと、私たちの番になった。

このお店、美味しいだけではなく、
日本酒がある！

回転寿司屋さんで、
日本酒を出す店は少ないのだ。

ホタテ、マグロ、ヤリイカ、アナゴ、
サーモン、シメサバ、ウニ、に甘エビ！

待っていましたとばかり、
あれもこれも………

で、『北の勝、2本！』
美味しいお寿司には日本酒でしょう。

食べて、飲んで、笑って食べて…
気がつくと、席について一時間以上たっていた。

このお店は、あずましいのだ。
回転寿司屋さんで、

ここまであずましいお店も珍しい。
満足、満足………

食べているときって、
待っている人を忘れてしまうんだなと、

昔の小児科を思い出した次第だ。