朝、バスに乗った。
やや混み気味だったので、

前の方に立っていると、
後ろの方で携帯電話が鳴った。

『こんにちは、久しぶり～
今、バスなんで降りたらかけなおすわ、

え？元気だよ、そっちは？そりゃあ良かった。
あ～携帯ではなくて家の電話にかけるの？

わかりました。では、また』
私くらいの中年男性だった・・。

電話に出ない事も、
バスの中で電話をする事も、

両方に、
申し訳なさを感じている様子がわかった。

マナーモードにしていれば、
電話に出ないで我慢することも出来るが、

鳴ってしまったら、
出るしかない・・・・。

（バスの中なので、かけなおします）
で、すぐ切れば良いものだが、

お相手が、
その状況に敏感でない様も感じ取れる。

久しぶりの方であれば、
（お元気ですか？）（今、どうしているの）

など、
本題前に言うのが普通・・。

でも、
バスの中という【携帯電話事情】が、

それをちぐはぐにする。
バスの中なのにすぐに切れなかった申し訳なさが、

その男性の声に見え隠れする。

私もよく地下鉄やバスの中で、
マナーモードでも、かけてきた方に申し訳なくて、

携帯電話を取ってしまい、
『ごめんなさい・・降りたらかけなおします』

と、小声で言う。
【居るのに出ない】事に罪悪感を持つのだ。

マナーを守ることをうるさく言われて育ったから、
余計・・なのか？

それとも、
携帯電話はすぐ繋がるものという新しい感覚の所為なのか・・

古い感覚と新しい感覚を、
上手く使いこなせていない年代なのか・・

自分を見たようなバスの中だった。

携帯電話は、バスの中でもJRでも、
そして、運転中でも出られない。

そういうもんだと、
自分が認識すれば・・いいのか・・

因みに、全く関係ない情報だが、
札幌は中央区南11条西17丁目の交番の向かいでは、

お巡りさんが、
突然現れて、『ちょっと、ちょっと、向かいの交番に入って！』

と、
運転中に携帯電話をしている車を止めている。

『今、運転中だからかけなおします』
と言って摑まるより、

やっぱ・・でないが一番！携帯電話・・だ。