日刊せみなりーBLOG

義父母のこと

更新日:2013/05/16

昼前のスーパーおおぞらに乗った。
今日は一人で、厚岸に行く。

『席はここだわ、まだ時間があるから大丈夫。
携帯に電話しようか』

前の方から、声がした。
年配のご両親とお嫁さんのようだ。

『世話になったな。』
携帯電話でお父さんが話していた。

息子にでも電話をしているのだろうか。
アナウンスが時間を告げ、

お嫁さんは、
『じゃあね!』と言って電車を降りた。

その姿が昔の自分と重なった。
夫の義父母は釧路に住んでいた。

義母だけで、
札幌に来ることも多かったが、

義父が第二の人生を卒業した頃からは、
必ず二人で来た。

そして、義母が急逝した後は、
義父がゴールデンウィークとお正月に、

一人で札幌にきていた。
迎えは、夫のことが多かったが、

帰る時は、
私も一緒に見送った。

席まで付いていき、
『大丈夫だ。もう行ってもいいよ』

と言われたが、
ギリギリまでいて、

最後はホームで見送った。
亡くなる年のお正月に来た時は、

長女家族もいて、
帰りの見送りは、ホームにずらりと並び、

盛大なものになった。
義父は嬉しそうにしていたが、

発車する寸前に、
急に出口に現れ、『むっちゃん、本当にありがとう。楽しかった。』

と言って、私の手を握てくれた。
義父の笑顔を見たのは、

それが最後になった。

義父母が健在だった時、
私たちが『汽車で行くよ』と言うと、

必ず夫婦で、
釧路駅で待っていてくれた。

義母が亡くなったあとは、
義父が一人で出迎えてくれた。

そして、今は出迎えはない。

明日、厚岸の帰り、
お参りをする時間はあるだろうか、

『むっちゃん、たまには顔を出して』
義母の笑顔が浮かんだ。

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