日刊せみなりーBLOG
息子…
更新日:2014/01/26
『あのさあ、
母親が死んだらメチャクチャショックだからね。』
男性社員にこう言うと、
『そうですか、俺、そうでもないと思う』
なんて、みんな言うが、
(全く…馬鹿だ)と私は睨むが、
一向に、
私の言葉を信じようとはしない。
でも、
そうだなあとも思う。
私も、
父が死に、これほどショックなことなのかと、
改めて、
親が生きていてくれることの幸せを知った。
今、四人の親のうち、
私の母だけが健在だ。
一抜けは、
夫の母だった。
全く想像もしていない突然の死だった。
真夜中に、今は分社したINDI株式会社社長の東出常務の運転で、
釧路に駆けつけた。
変わり果てた姿に、夫は声もなかった。
泣き続けた葬式だった。
その後、夫の心の中に穴が空いたのがわかった。
それは、
私では、けして、埋められない穴だった。
その頃だったと思う。
リリーフランキーの【東京タワー】
と言う本が出版され、
テレビや映画にもなった。
母を思う息子の声が始めて理解できた。
『お義母さんは、
うちの娘たちの中に脈々と生きているよ。
長女Mなんて瓜二つだし、次女Kにも、
三女Mにも、そっくりなところがいっぱいあるじゃない』
と、慰めたけれど、
それは、見当外れの慰め方だと近頃わかった。
昨日、何の話からだったろうか、
亡くなった夫の母の話になった。
『亡くなって、もう10年近くたつんだね』
『そうだな。10年だな』
とても、
そんなに時間がたったとは思えないほど、
今でも私の身近に義母はいる。
いつでも、義母の声を聞くことが出来る。
そうだよなあ。
嫁の私でさえ、まだ、こんな気持ちになるんだもの。
息子だったら………
私には息子はいない。
だから、息子を想う母の気持ちは分からない。
いつか、
それぞれに息子を持った三人の娘たちに、
息子への想いを聞いてみよう。
雪が降り続く静かな日曜日、
家中に溢れる義母の写真を見ながら、
夫の心の穴は、
どのくらい埋まったのかな?と、
ふと、思った。