日刊せみなりーBLOG
ごもっとも〜?
更新日:2014/02/03
節分になると、
当社と北大を結びつけてくれた名誉社員、
北大名誉教授M先生を思い出す。
名誉教授M先生は私の10歳違いの従兄弟だ。
昔昔大昔、
18歳の彼は津軽海峡を渡り北海道にやってきた。
そう言えば、
何で北大に来たのか聞いたことはないが、
札幌の叔母夫婦、
私の両親を頼りにしていたのは確かだ。
うちの会社の創業者である私の父は、
その頃は北海道職員で官舎に住んでいたが、
北大からはかなり遠いその官舎の近くに、
未来の名誉教授は下宿をした。
そして初めての豆まきの日、
私の祖母が、
『Kちゃん、年男は豆を巻くおじさんの後ろから、
擂り粉木棒を持って、ごもっとも〜ごもっとも〜って、
歩くんだよ』
と言った。それを聞いた未来の名誉教授は青くなり、
私の母に、
『おばさん、本当にしなければダメなの?』
と、聞いたと言う。
当たり前に、からかわれたのである。
未来の名誉教授はホッとして、
笑いながら狭い官舎に豆を撒いた。
その後、未来の名誉教授は、
官舎の屋根裏の灼熱の中で勉強し、
大学院に入り、
名誉教授への一歩を歩き始めた。
その頃、
私の父はまだ起業するとは思ってもいない頃だと思う。
時は流れ、私の父は起業した。
この仕事、たまに山の木の調査もするが、
樹種がわかることが重要だ。
私の父は、未来の名誉教授に、
『樹種のわかる学生はいないか?』
とアルバイトを頼んだ。
『いるよ』
そこから、北大生との繋がりが始まった。
本格的に学んでいる学生は、
『桜の木の見分け方は…』『ホウノキとトチノキの葉の違いは』
と、私たちに教えてくれた。
そして、うちの会社の木の参考書は、
北大の先生たちが作り、
北大の農学部の学生が使う、【北海道の樹木】だ。
分からない木が出てくると、
その本を開き、葉は?樹皮は?冬芽は?と調べる。
そして、酪農、畜産に関する知識は、
北大の先生たちから教わることが多い。
擂り粉木棒を持って、
ごもっとも〜ごもっとも〜と言うのかと、
青くなった未来の名誉教授は、
本当に名誉教授になり、
『おじさんとおばさんには世話になったから』
と、今、会社に恩返しをしてくれている。
豆まきの日、
必ず思い出す、ごもっとも〜だ。