今日は、
念に一度の北海道神宮お参りの日だ。

お参りは朝！と、
思っていたが、『5時まで大丈夫です』

と神様に言われ、
先に仕事をする事になった。

『午前中に応札をして、
午後から開札です。それを確認してから神宮に向かいます。』

中々忙しい新年度だ。

私は、お金係なので、
『郵便局に行ってから、生協で神様のお酒を買って来るね』

と、
２時すぎに郵便局に急いだ。

ちなみに、
入札に参加して、札を入れる事を応札といい、

お役所が、その札を開けて、
どこの会社が受注するかを決めるのを開札と言う。

うちの会社は、
それで売り上げが決まるから、

応札も開札も、
ある意味命がけだ。

今日のように、
午前中に応札をして、午後から開札と言うのは、

電子入札になってからは、
あまり無く、落ち着かない午後だった。

郵便局は思いのほか時間がかかり、
イライラしながら会社に戻ると、

『まだ、改札結果が出ません。』
『え？もうすぐ三時半だよ。』

頑張った応札は、どうだったのか？
と言う不安と、

年に一度の北海道神宮参拝に遅れるなんて、
縁起が悪い……と言う、焦りと、

社内は落ち着かなかった。

メールチェッカーが鳴った。
『来た！』シャイなO常務が静かに言った。

営業組が一斉に、
電子入札専用パソコンに向かった。

『どう？』『落ちました！』
『よし！神宮に向かうぞ』

このために残っていた六人は、
急いでハイエースに乗り込み、

神宮に向かった。
『いやはや、ハラハラしたな』

さっきまでの顔とは大違い、
みんな、晴れやかな顔だ。

『一日に開札は始めてだったね。
それも、落札出来た。さい先、いいんじゃあないですか』

『いやいや、引き締めないと…』
と言うシャイなO常務も笑顔だ。

午前中の落ち着きなさも、
何と無くのイライラも、

全くなくなり、
ハイエースの中は、笑い声に満ちた。

『まるで、
うちの会社を見ていたかのようなタイミングの落札だったな』

シャイなO常務が言った。

夕方の神宮は、
落ち着いていて、中々悪くなかった。