夕べからの雪が結構積もった。
『折角、春がきたと思っていたのに、凹みます。』

朝会で、
ホンワカH君が言った。

何せ、今の時期、
現場をスタートしたくても出来ないもどかしさ。

『春調査、何時にしますか?』
昨年度の冬に出た調査は、

春にやり直しをする。
毎年のことだけれど、

去年度の仕事なので、
早く終わらせたいのが人情だ。

『木が多いんだよな。
葉っぱが出てからしたい。』

ラガーマンM君が言った。
うちの会社は、

国や自治体が、
公共事業で必要な土地の上にある、

すべての所有権があるものを調査するが、
意外に庭木は多い。

大きさは誰でも図れるが、
樹種が難しい。

私も始めた当初は、
『みんな同じ緑の葉っぱ』としか見えなかった。

毎回、
北海道の樹木という、

北大の先生が書いた本とにらめっこ。
何年かたつと、

『これはドウダンツツジ、これはサラサドウダン。
これはエゾヤマツツジで、こっちはオオムラサキ』

と、わかるようになり、
『冬芽も特徴があるのよ』

と一端だが、
それでも、葉っぱがあった方がいい。

秋なら落ちている葉っぱから、
樹種を割り出すこともできるけれど、

春先はそれもダメだ。

『葉っぱが出てからなら、連休明けだね。
それでもいいなら、私も行けるよ。』

鬼の霍乱で只今活動自粛中の身の上だが、
連休明けなら、大丈夫だろう。

『助かります！』

あは、嬉しいな。
当てにされるとは、幾つになっても嬉しいことぞ。

ただ、しかし、
春が少し遅い方が安心かも。

なんて、
心で思う59歳の待ち遠しい春だった。