日刊せみなりーBLOG
菊水というところ…
更新日:2014/06/17
先日、
働くウーマンの格好で札幌は菊水を歩いていた。
菊水という街は、
今は、地下鉄に乗れば、
五分で街中に行く便利な所という印象だが、
昔は下町だった。
私が看護婦として、
社会人生活を始めた所でもあるが、
四十年近く前のその頃は、
トイレと言うより便所が外にある長屋や、
昔は遊郭、今、下駄履きアパート、
と言う建物も健在で、
世間知らずの私は、
お目々キョロキョロ、恐る恐る先輩の後をついて訪問看護に行っていた。
今その遊郭あとは、
駐車場とマンションになり、
便所は外の長屋は、
何処にあったかさえわからない。
なんて、
思いながらその菊水を歩いていたら、
急に声を掛けられた。
『貴女、素敵な格好をしているわね。
おしゃれだわ。
そういう格好をしている所をみると、
働いているのね。』
『はい、ありがとうございます』
『それは幸せね。
女性は、結婚で一度辞めてしまうと、
中々次の仕事を見つけられないもの。
働く場所があることに感謝しなきゃあ』
『はい、そうですね。』
『頑張ってね。』『ありがとうございます。』
歩きながらの会話だった。
声をかけてきた女性は、60代半ばくらいだろうか。
昔働いていた病院の患者さんかしら、
と思ったけれど、二十年も昔の話だから、
初めて会った人だと思う。
だけど、
まるで昔からの知り合いのようで、
何だか、ホッとする人だった。
菊水の地下鉄の入り口で、
その人と別れたあと、
(そうだよね。働けて幸せだよね。)
と、しみじみ思った。
何だか、
働ける事が当たり前と思っていたけれど、
それは、間違いだ。
と気が付いた。
昔働いていた菊水の病院には、
病気で働けない患者さんたちもいっぱいいた。
遊郭あとの下駄履きアパートの、
広すぎる暗い廊下が急に思い出された。
菊水は、
今も昔も私の大事なフィールドらしい。