日刊せみなりーBLOG

鞄されど・・・鞄・・

更新日:2014/06/24

鞄が壊れた。
16年間使った皮の鞄だ。

一度修繕をしたことがあったので、
東京のメーカーに送り、

『送料がかかるので、
どうせだったら悪いところを全部直してください。』

と、メールをした。
出来れば、死ぬまで使いたい。

この鞄は、
オーダーで作った。

今から16年前、
当社に転職し、パートから正職員になって5年がたっていた私は、

東京の研修に初めて行かせてもらった。
補償業務の基礎研修、1週間の泊まり込みだった。

圧倒的に若い人の中で、
夜な夜な同室者と語り合った。

授業も面白く、動悸がしてくるのがわかった。
最終日、せっかく東京に来たのだからと、

新宿の東急ハンズに寄った。
その時、見つけたのがこの鞄だった。

あまり見かけないデザイン、
明らかに女性もの・・

よし!買う!
オーダーし、札幌の東急ハンズで受け取った。

少々重たかったけれど、
仕事の外出には必ず同行。

味わいも出てきた。
『素敵な鞄ですね』と褒められることも多かった。

だから、
ずううううと、使おうと思っていたのに・・

メールの返信は、
『皮の乾燥がひどく、傷みも進んでいます。

オイルでのお手入れはされていたでしょうか?
穴も開くかと思います。

今回の修繕をしても長くは使えないことをお了承ください』
というものだった。

送料と合わせると2万円近くかかる見積もりだった。

なんだか、
自分が『もうお年ですから・・』

と言われた気分だ。
迷ったけれど、

送料をかけて戻してもらって捨てるのも・・・
と思い、

『そちらで処分をして頂けますか?
これもまた、自分の新たな出発点と考えて新しい鞄を探します』

と返信した。
なんだか、自分の人生がブツッと切れたような感じだった。

元気なく仕事をしていたら、
携帯がなった。鞄のメーカーからだった。

『ファスナーの不具合を辛抱していただけるなら、
完全に壊れているフックだけ交換すると、送料共でも1600円くらいです。

あと、一年は持つと思うのですが・・』
『はい!そうしてください!』

即答だった。
自分に命の猶予が与えられた気分だった。

一年の間に、
また、絶対欲しい!と思う鞄を探そう・・・

暗い気持ちが、
突然、希望に変わった。

たかが鞄でも、
16年間使うと、自分の分身になるようだ。

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