日刊せみなりーBLOG

夕陽…

更新日:2014/09/10

昨日、久しぶりに羽幌に来た。
前にきたのは、何時だったか、

真冬だったというのは覚えている。

初めて見た羽幌は、
下から雪が吹き付け、地吹雪を越える景色だった。

住宅の外壁には、
その吹き付けられた雪が二階まで固まってついていた。

日本海はグレーの塊で、
飛沫の泡が凍って、波打ち際でふわふわ浮かんでいた。

想像以上の厳しい地で、
ここで生まれ育った人は、

粘り強くなるだろうな…
と思った。

そして、昨日、
ホンワカH君と気遣いU君の三人でハイエースに乗り、

羽幌に着いた。
所用の時間には少し早かったので、

『ここの夕陽は有名なんだよ。
どこか、良い場所に連れて行ってよ。』

はいはい、
とホンワカH君は私のわがままを聞いて、

車を港 の方に走らせた。
『中々いいところがないなあ、何かが邪魔をする。』

昨日は、稲妻が時折走る天気だったが、
その怪しい雲の隙間から、

落ちる寸前の太陽が顔を出していた。
どうせなら、

木の柵やコンクリートの防壁に邪魔されず見たい。

結局、
港から少し離れた小高い丘にたどり着いた。

そこだけ雲が薄らいだ空間は、
オレンジ色に染まっていた。

『わああ、綺麗だね。太陽が落ちて行く様が雲の間から見えるわ!』

聞きしに勝る景色だ。
『そうすね。』ホンワカH君の気のない返事。

『あのさあ、ロマンチックじゃないわね。
まったくう〜』

気遣いU君も、微笑んでいる。
その間にも太陽は、どんどんオレンジ色を増し、

雲の合間の海だけが、
その中にいる。

『綺麗ですね。凄い…
太陽のエネルギーを感じますね。』

気遣いU君が言った。
夕陽は、落日とか黄昏とか言われるけれど、

静かなオレンジ色の中に秘めたエネルギーは、
ハンパないんだね。

隣で、
ホンワカH君が写真を撮っていた。

『娘に送ろう』

『ありがとうございました』
思わず口から出た。

いつもは朝日にありがとう!の私だけれど、
夕陽に言ったのは初めてかも…

『羽幌の人は毎日、
こんな美しい夕陽を見ているんだね』

真冬の厳寒と、
心のすべてを包み込んでくれるような夕陽の中で育った人は、

都会育ちの私より、
どこか深くなるような気がした。

この夕陽のために、
羽幌、苫前、小平、留萌、増毛…

道北日本海を訪れる価値はある。

記事一覧