日刊せみなりーBLOG

こんなこと、あるんだ…

更新日:2014/10/12

世の中には親切な方がいるものだ。

先日、仕事でじょうてつバスに乗った。
いつもとは反対方向の定山渓行き。

寒い日だったので、
モヘア風のジャケットを着ていた。

右手で吊革につかまり、
すまして外を見ていたら、

その右手の袖口に、
何やら小さなものがぶら下がっているのに気がついた。

あ、モヘヤの糸にゴミがついているのね。

このジャケットも古いから。
と、再び視線を外に移した時、

隣に立っていたご婦人が、
『ごめんなさい。蜘蛛がいるので取りましょう。』

と、ご自分のバックからティッシュを取り出し、
私の右袖口にぶら下がっていた小さな蜘蛛を、

すいっとティッシュで掴んでくださった。
『あ!ありがとうございます!

助かりました。何処で連れてきたのかしら』
と、私は赤くなりながらお礼を言ったが、

モヘヤの糸とゴミと思ったのは、
蜘蛛の糸と蜘蛛だったとは…

そのご婦人は、
蜘蛛が入ったティッシュを、

くしゅくしゅと丸めて自分のカバンに入れた。

きゃあ!とも言わず、
静かに、蜘蛛がついているので…

と言ってとってくれる人なんてそういない。
その後、隣なのに話をした方がいいのか、

どうしようと迷っているうちにその方は降りられたので、
『ありがとうございました!』と慌てて、もう一度お礼を言った。

それにしても何処で蜘蛛が着いたのかしら?
バスに蜘蛛と一緒に乗るなんて、

生まれて初めてだ。
朝の蜘蛛は縁起が良いと言うけれど、

殺しちゃったからダメかしらと思ったり、
お隣に立った方が親切な方で良かったわと思ったり、

心臓がパクパクした。

私はドジなので、
今までも何度も、『カバンのチャックが空いていますよ』

『スーツのボタンにアルミホイルが付いたままですよ』
とか、声をかけてもらうことが多いが、

世の中には、
親切な方がいっぱいおられるということなのね。

バスの窓から、
景色を眺めつつ思ったりしたけれど、

それにしても、
あの蜘蛛は緑色だったのに、

なぜ黒いゴミに見えたのかしら。
やれやれ、そろそろメガネを替え時かしら。

親切な女性に感謝しつつも、
ちょっぴり意気消沈のバス乗車だった。

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