日刊せみなりーBLOG

冬芽って、素敵!

更新日:2014/11/11

このところ、少し暖かいのか、
雪が降っていない。

昨日乗ったタクシーの運転手さんは、
『昨年の今時は、もう降っていたと思うんですが』

と言っていたけど、どうだったかしら。
不思議に、昨年の事はすっからかんと忘れる私だ。

何せ毎年、雪が降る前に!の現場は同じで、
今の時期は焦っている。

唯一、
焦るけれど今の時期の方がわかりやすい調査もある。

それは、山の木の調査だ。

昔、木の調査を担当した頃、
全ての葉っぱが同じに見えた。

仕方がないから、樹種は本で覚えた。
うちの会社の定番図鑑は、

北大の農学部が推薦する【北海道樹木図鑑】だ。

みんな、
わからなくなるとこの図鑑を取り出して見比べる。

でも、木も人間と一緒で、顔が違うように、
葉っぱも樹皮も微妙に一つずつ違うんだけれど、

冬芽は、その個体差が少ないのだ。
おまけに、葉っぱが落ちると、

【互生】か【対生】かがわかりやすくなる。
これは、一本の枝に小枝が向かい合って対になっているか、

互い違いになっているかの差。
例えば、ヤチダモの冬芽は対生で、

黒くて硬くて小さくとんがっている。
素人目には間違いやすい【ほうのき】と【トチノキ】だけれど、

【ほうのき】は互生で、
冬芽はふと長くとんがっている。

そうね、下ろす前の太書き用の筆見たい。
それに比べて【トチノキ】は、

対生で短い筍見たいに、
硬い皮がかぶさって見える。

だから、冬芽の今の時期は、
ほうのきとトチノキを間違うことはない。

でも、モクレンとコブシはわかりにくいかな。
両方とも、モコモコの毛がついてふんわり可愛い。

そう言えば、
葉っぱだけの時期にはわかりにくい桜とさくらんぼも、

一発でわかる。
さくらんぼの冬芽は、幾つかが固まってついているから。

この仕事につかなかったら、
気がつかなかった事ばかりだ。

ツンツンとんがっているツリバナの冬芽は、
お澄ましさん。

ミズナラの冬芽の先っちょは三つになって、
仲良し兄弟だ。

可愛いなあ。
まだ、秋の終わりかけなのに、

木々はもう春の準備だ。

枯葉よ♪と、
時雨れているのは人間だけで、

自然界は、
次のステップに向けて、

いざ!
ということか。

この仕事について、
良かったことの一つ、

冬芽を知ったことは大きな事だった。

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