『みんな、食べてください』
ホンワカH君が、大根を抱えて出勤してきた。

『漬物用の大根を実家から持ってきたんです』
ホンワカH君は、三石生まれだ。

ご実家は農家だったけれど、
今はやっていない。

『自分ちや知り合いに配るだけしか作ってないんです。
今年は600本作りました。』

すんごい！
そのおすそ分けを持ってきてくれたのだが、

『わ！大きい！』
長さ60センチ、最大径10センチというところか。

『せっかくだから煮ようか』
ここが、小企業の良いところ。

『スノーマンK君はお母さんがいないから、
煮物は食べられないでしょ』

むつみさんの押し売り的親切だ。
『家から昆布を持ってくるわ』

私の朝一の仕事は、
こんぶだしで大根を煮ることから始まった。

いい匂い〜
どうせなら、練り物もいれよう〜

ウキウキし、生協に向かった。
牛蒡巻きにウインナー巻、おでん用ハンペンに天ぷら、

色々取り合わせるが、
人数分は買わない。取り合いが楽しいからね。

卵は迷ったけれど、やーめた。
しみる時間がないから。

誤解の内容に言っておくが、
仕事もしているので、

これでも時間配分は考えているのだ。

買ったものを抱えて帰り、
大鍋にどぼん！

美味しくなあれ、美味しくなあれ、
お塩もお醤油も、感のみ！

いざ！

お昼になり、
みんなは狭い流しに並び、

『美味しそう！卵はないんですかあ』
やっぱり、買えば良かったかしら。

うちの社員たちは優しいから、
とても喜んで食べてくれる。

『ホンワカH君、くれぐれもお父さんにお礼を言ってね。
大きな大根を作るのも大変、

そして引き抜いて洗ってくれて。』
そうなのだ。

大きな大根は綺麗に洗われていた。
この寒空の中、心がないとできないわ。

感謝！

瑞々しい大根は、
美味しい出汁をいっぱい吸って、

じゅわ〜と美味しかった。