『指名が入りましたあ』
何と、こんな時期に指名が入った。

うちの会社は、
入札でお仕事を頂く会社だが、

その仕組みは色々で、
はい！はい！と手をあげてご指名をいただく方法や、

事前に登録した部署について、
ランダムにご指名を頂く方法、

などがあるが、
今回は、事前登録でご指名をされた部分だ。

この時期なので、
もうご指名はないと思っていたので嬉しい。

『午後から、指名通知を貰ってくるわ！』
早速、取りに街に行くことにしたが、

あら？今日はちゃんとお化粧をしたわよね？
と不安になって、顔を触って見た。

ん？わかんない…
あ、いや、確かに朝、化粧をしたわ。

と思い返す。

先日は、
化粧をしたと思って会社に来たらすっぴんだった。

化粧水をつけたところで別の用事を思い出し、
バタバタと動いているうちに化粧の事は忘れてしまったらしい。

丁度、どこにも出かけない予定だったので、
やれやれだったが、お客様が見えた。

仕方ないので、
(私は化粧をしている、化粧をしている…)

と思い込み、自信を持ってお会いした。
女性ばかりが面倒な…と思ったが、

男性も、
毎日髭剃りをしなければならないのだから、

一緒か、身だしなみだねえと
思い直した。

さてさて、
ほっぺに触って、

化粧をしていることを確認したから出かけようか、
本日は、月に一回の受診日だ。

病院からまっすぐ街に出かけよう。
本当は、病院に行くのならすっぴんの方が、

顔色がわかっていいのだけれど、
仕事中だから。

などと、ブツブツ独り言を言ってみる。

師走も中旬に入り、
営業の方は挨拶回りに忙しいが、

街は混んでいるかしら。
予定外のご指名になんだか心が浮きだってきた。