今日は、新人T君の歓迎会だ。
こんなに遅くなるのは稀だが、

早い春のお陰で、
現場が始まり、

『次の日が現場の飲み会はいや』
と言う、当たり前の希望が多くて、

今日になった。
どうせ飲むんだったら、

休み前がいいものね。
何よりも、新人T君が落ち着いて飲めるだろう。

だいぶ、
会社の人にも慣れてきたようだし。

今の時期、どこでもかしこでも、
新人で溢れている。

モゴモゴN社長こと夫が、
行きつけの床屋さんに電話をかけたが、

『少々お待ちください。
……少々お待ちください。』

で、『全く、らちがあかない』
と、言いつつ、

かなりの時間をかけて予約が出来た。
『時期だもん、仕方がないよ。』

お客様も、協力しないと。
の心境だ。

うちの会社は小規模だから、
新人T君にも、『さあ、図面を書いてみて』

ビベロYちゃんがつきっきりとは言え、
習うより慣れよで、

パソコンに向かわせている。
月曜日には、打ち合わせにも付いていく。

多分、
打ち合わせ簿も書かせてみるだろう。

大変だけど、
見ているだけでは、何もわからないから。

私の社会人1年目は、看護婦だった。
見ている時間はごくわずかで、

夜勤でさえ、
見習い一回で次からは独り立ちだった。

もちろん、
相棒の看護婦さんはベテランだ。

いや、ベテランだったはずだ。
不思議なことに、

初めての独り立ち夜勤は覚えていない。
人間って、あんまり必死なことって、

覚えていないのかもしれない。

その看護婦時代も色んな事があり、
色んな先輩後輩同輩と、

仕事をした。
『私もあんな風に、素早く優しく的確に処置をしたい』

と憧れた先輩は、
いつまでたっても追い抜けなかった。

先輩はそんなものなのかもしれない。

さてさて、
今日はしっかり新人T君を励まそう。

新人T君は、未来の希望だ。