いつもより、
雪解けが早く、暖かい冬の終わりだった所為か、

4月に入り、
この寒さが身にしみる。

かといって、
ダウンを着るわけにも行かず、

道を歩く姿は颯爽とは、
ほど遠い近頃だが。

今日のように、
風は冷たく雨まで降り出すと、

それに比例して、
心が冷えるように感じるのは私だけか。

『工損用のデジカメ、何時買うの？』
『もう買わないと、ダメですね。』

仕事用のデジカメは、
特殊なもので、そこいらへんには売っていない。

カッコマンH君が担当で、
見つけてきた。

『一眼レフは、どうします？』
『一眼レフを買わないとどうなるの？』

『写りませんよ』
『レンズなしでデジカメが売っているの？へんじゃない』

『いやいや、むつみさん、
ほら、レンズを取り替えながらみんな、

写すじゃないですか？
うちにもアナログ用のレンズはあるけど・・』

なんだか意味がわからないが、
とにかく、レンズと一緒に買うしかないらしい。

『じゃあ、レンズ付きで4個ね』
なんとなく、理解できない自分が情けない。

私は機械音痴だが、
どうにか、アナログカメラは写せるんです！

だったのに、
デジカメになってから、

『これ、写ってんの？あ！消えた！』
で、役立たずになってしまった。

だいたい、レンズなしの値段をつけるなんて・・・
理解できないので、すっきりしない。

『ところで、うちにあるアナログレンズって、
父の形見だよね。使えないって事？』

ラガーマンM君が申し訳なさそうに、
『デジカメにうまく合わないんです。』

と言った。
もったいないな。

うちの会社の創業者である父は、
カメラが趣味で、良いレンズをたくさんもっていたが、

娘も婿も社員も、
写真が趣味のものはおらず、

棚に眠ったままだ。

『寝かしておくより、好きな人に使って貰う方がいいから、
売りに出す？オークションでも・・』

と言ったら、
ラガーマンM君もカッコマンH君も、

気の毒そうに、
『リサイクルショップで、

アナログカメラが、
2000円で売っている時代ですから』

と言った。
そうなんだ・・・・

一眼レフカメラとレンズがばら売りなのも、
アナログレンズとデジカメが上手く合わないのも、

そして、
父が大切にしていたレンズの行く当てがないのも、

わかっているのに・・

なんだか、
みんな、寂しく思うのは、

この雨空の寒い天気の所為だろうか・・