暖かい春に慣れてしまったのか、
今日の朝は寒かった。

会社のストーブを、
つけるほどでもないけれど、

薄ら寒いのは、
何気に元気じゃなくなるのか、

朝会は、
少々元気なしで終了した。

みんな、
大丈夫かしらと少し心配だったけれど、

ホンワカH君は、
元気そうだったので、

まあ、いいか…
と、むつみさんは街中に出かけた。

そして、昼過ぎ、
気温も少し上がりコートは手に持つほどになり、

会社に戻ると、
二階から元気な声が聞こえてきた。

うちの会社は、
木造二階建て、玄関は一階にあり、

事務所は二階だ。
いつも、事務室のドアは開けっ放しだから、

声は玄関に筒抜けなのだが、
聞こえてきたそのみんなの声には、

張りがあった。
『あら、元気な声、何かあったの？』

と言ったが、
特に何もないようだった。

不思議、
私の感覚のせいかしら。

で、気がついた。
もしかしたら、気温のせいかもしれない。

部屋の温度は明らかに上がり、
部屋の窓は、その幾つかが開いていた。

モゴモゴN社長も上着を脱いで、
ブルーのワイシャツ姿になっている。

朝の縮こまった空気は、
温まり、柔らかくなっていた。

朝より、
みんなは元気になっているようだった。

よかった…
と、思いながら、

もしかして、
朝の緊張感は私のせいかしらと、

頭をよぎったが、
いやいや、それは考えすぎだと苦笑した。

朝から、
元気一杯夢いっぱいは理想だけれど、

そうは行かないのが人間だもんね。

で、
もう一度気が付いた。

朝は、
きっと私が緊張していたからだわ。

ただいま、
60の手習いのごとく、

【家ねっと】という新集団を作って、
個人のお客様とお付き合いをさせて頂いているが、

今日はその大切な日だったのだ。

会社はやっぱり、
朝より元気な空気が流れていると思うけれど、

それは、私の心模様の反映なのかしら…
なんて思いながら、

こそっと社員たちの顔を見た。