日刊せみなりーBLOG

捨てられない……

更新日:2015/05/14

捨てられない……
何がって、…

遂に壊れた皮の鞄………
何処に行くにも持ち歩いていた鞄だった。

17年前、
私は初めて、【補償業務基礎研修】に参加した。

14年半の看護婦生活を、
ほんの少し休むつもりで、

その間の、
お小遣い稼ぎと思って入った補償セミナリー。

『私に出来る事、なんかある?』
が拡大し、

この仕事、面白いかも?!
と、真剣に思い出したのが、

17年前だった。
私は、43歳だった。

『私も、研修に行きたい』
この仕事に関わって、5年がたっていた。

東京で行われた研修は、
合宿みたいな感じで、

全国から、
同業者が集まり、

私の部屋は、
女性が、三人だった。

朝から晩まで、
缶詰になって行われる研修は、

刺激的だった。
今まで、聞き覚えの事が、

わかる!喜び、
そうなの!そうなの!

ワクワク感がたまらなかった。

五日間の泊まり込み研修が終わり、
寝食、入浴を共にした仲間と別れ札幌に戻る時、

せっかく、東京に来たのだから、
少し観光をしようと思ったが、

人混みが面倒くさくて、
まあ、いいか、東急ハンズにでも行くか、

と、
新宿の東急ハンズに寄った。

すでに、札幌にも東急ハンズはあったが、
規模が違った。

お上りさん状態で、
口をポカーンと開けて見て回っていたら、

【手作り皮鞄】コーナーが目には入ってきた。
わ!素敵!

飾られている見本の一つに、
目が釘付けになった。

欲しい!
値段を見たら、25000円だった。

即決した。

私は、物を買う時に迷う事はない。
と言うより、迷う物は買わない。

特注だから、
届くまでに2週間かかった。

43歳にして、
初めて買ったビジネス鞄だった。

私が、看護婦から、
ビジネスウーマンになった一瞬だったかも知れない。

それから、17年間、
入札にも、お役所回りにも、

はたまた、現場にも一緒に行った。
異業種勉強会に参加するようになってからは、

『あら、素敵な鞄ですね!』
と言われることも多かった。

ほぼ毎日持ち歩いた。
そして、お出かけのない日は、

会社の机の横で、出番を待っていた。

数年前から、
あちこちが傷み出し、

時々入院治療をしていたが、
先々週、

持ち歩いている時に、
突然、本体の皮がパッカリ切れた。

直すには、
全てを替えないと直らない場所だった。

寿命だな、
17年間持ったのだから仕方ないわ。

次のを探さなくちゃ、
と、思ったのに、

壊れた鞄は、
パッカリ口を開けたまま、

我が家の居間に置かれたままだ。
これって、燃えないゴミだよね…

と、【燃えないゴミ】の日の、
今日まで置いておこうと思っていたのに、

やっぱり、捨てられない。

看護婦からビジネスウーマンになった私と、
17年間一緒に行動してくれた鞄、

うーん、
と、考え………

家の本入れにする事にした。
今度は、家で一緒にいよう。

断捨離の時代、
捨てられない物もあるようだ。

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