人生は、
予想外の事が起こるので、

面白いのか…
本日は、現場………

もうすぐ現場に着くわ！
と言う所で、トイレに行きたくなった。

場所は、市内の住宅街。
技術者に迷惑はかけられないと、

作業開始後、
一人でトイレを探すことにした。

私の住む川沿と違い、
こちらの住宅街は、まっこと、住宅街で、

探せども、
コンビニはなし。

時間が早すぎて、
サツドラも空いていない。

どうしよう…
と、時は急を要し、

キョロキョロしていると、
住宅街らしく、あちらこちらに小公園を発見した。

もしや、
公衆トイレはないか？

と見れば、
あるではないか！

良かった！
和式トイレなので、

普通ならば使わないが、
ここで入らなければ、

この先、
トイレが見つかる保証はなし。

うーん、入ろう！
嬉しいことに、汚れてはいない。

和式トイレは、
本当に久しぶり、おまけに公園のトイレなんて、

いつ入ったかしら。

この公衆トイレは、
水洗だけれど、簡易水洗なのだろうか、

和式トイレの後方に穴があり、
用足しをしたものは、

その小さな穴から即座に落ち、
黒い小さな蓋がパタンと閉まる。

とにかく、良かった。
これで安心して仕事に励めると、

ホッとした。
現場で何が困るって、

トイレほど困るものはない。
と、ブツブツ思いながら、

衣服を整え、
下方にある【お水を流してください】ボタンを押そうとしたら、

コツンと音がし、
何？と思った私の目に、

見覚えのある、
携帯電話が飛び込んできた。

あ！
と思った瞬間、

私の携帯電話は、
和式便器の黒い薄い蓋を抜け、

どこか、未知の所に消えていった。
ほんの一瞬の出来事だった。

現場服の胸ポケットに、
携帯電話を入れていたのを、

忘れていた。
こんなところで、急に別れが来るなんて、

考えてもいなかった。
と言うか、どうしよう！

一瞬にして、
仕事関係の皆様のアドレスも、

友人のアドレスも、
家族のアドレスも消えた。

帰ったら、
急いで携帯を買わなきゃあ…

と思いつつ、
茫然自失で現場に戻った。

お財布じゃあなかったし、
iPadでメールも打てるし、

いいじゃあないの！
命を失った訳ではないわ！

ただの携帯電話よ！
と慰めながら。

あーがっくり…………