あれは、
2週間くらい前の月曜日の朝会だった。

ラガーマンM君の番になると、
『こんな髪形になるはずではなかったのです。

マスターと同じにしてくれと言ったら、
こんなになった…』

と、彼は悲しそうに言った。
それまで、全く彼の髪には注目をしていなかったが、

その一言で、
全員がラガーマンM君の髪形を見た。

『ありゃ！』
短すぎる前髪が、額に少しだけ垂れていた。

カッコマンH君が、
『中国の美容室に行ったの？』

と、おちょくった。

そして、昨日、
親分肌のO顧問の歓迎会の席で、

隣に座ったカッコマンH君が
私に言った。

『むつみさん、
髪の毛、切らない方がよかったですよ。』

がーん！
やっぱりそう思う？

昨日、
私は午後から休みをとって美容室に行った。

土日と出かけて、
お客様とお会いするため、

伸びて白髪だらけになった髪を、
美しくしようと思ったのだ。

夜は、ススキノだし、
お仕事を頑張っているみなさまには申し訳ないが、

女の身だしなみは、
営業のうちだわ、と言い訳をしながら。

私は、美容院も浮気をしない。
ずっと、同じところだ。

そして、注文もつけない。
マスターのお任せである。

だいたいが、
失敗はないのだが…

昨日は、私の顔が変わったのか、
マスターの感が外れたのか、

『出来上がりましたよ！』
と言われた私の髪形は、あれ？だった。

でも、気のせいかもしれないと、
急いで歓迎会の席に向かったのだが、

正直者のカッコマンH君は、
正直だった。

『私もさあ、鏡の中の自分の顔が、
ラガーマンM君みたいだと思ったのよ。』

私が言うと、
『でも、美容院でセットされた髪は自分も嫌いですよ。

洗ったら、よくなりますよ。』
と、ビベロYちゃんが慰めてくれた。

『そうだわね』と言ったものの、
気持ちは、どよーんである。

そして、今朝、
小樽にお出かけ前にシャワーに入った。

どうぞ、髪形がよくなっていますように！
と祈りつつ。

ドライヤーで乾かした髪は、
やっぱり、2週間前のラガーマンM君のようだった。

仕方がないか、
2週間待てば、髪は伸びるから、

と自らを慰めたが、
鏡の中のむつみさんは、

すっかり、
おばさん顔になっており、

化粧を変えてみたが、
あまり効果がなかった。

2週間は…長く感じた。