地味に明るい根あかのT君は、
今年の4月に入社した新人だ。

7月からは、
試採用期間が終了し、正職員になった。

仕事を覚えるスケジュールも順調に進み、
この天塩町の現場では、

ビベロYちゃんの指導のもと、
住宅の調査に挑戦している。

うちの会社のお仕事は、
国などが、道を広げたり、

今回のように、
防風林を作ったりする時に必要な土地の上にある、

全ての物を調査積算などをする会社だが、
なんてたって一番多いのが、

建物だ。それも、
物置から始まって、

倉庫、納屋、住宅、店舗、病院、畜舎………
ありとあらゆる建物の調査をするが、

その中心にあるのが住宅で、
住宅の調査図面作成積算が一人で出来て、

初めてスタートラインに立てる。
だから、今回の【住宅に挑戦！】は、

スタートラインのスタートラインに、
立ったことになるわけだ。

ビベロYちゃんは、
すでに7年目の大先輩で、

どんなものの調査も出来るし、
指導も上手、おまけに、

心に刺さる言い方はしない。
ここは、私と違うところ。

あ、いや、私は関係ないか。

まあ、そんなこんなで、
天塩町の調査も2日目が終わり、

『ねえ、地味に明るい根あかのT君は、どう？』
と、心配になって、ビベロYちゃんに聞いたら、

『順調ですよ。』
クールな先輩の声が帰ってきた。

予想通りだが、ホッとする。

仕事を覚えるには時間がかかるが、
たくさん、仕事をした分だけ、

早く覚えるのも事実だ。
頑張れよ！

今が一番辛い時期だ、
何もわからず、全てを聞くしかなく、

精一杯やっているつもりでも、
怒られたりもする。

気が付かない自分にも苛立ち、
焦りも出るけれど、

それはね、
たくさん仕事をするしか、

早く解決できる方法は、
ないのだよ。

私が社会人になったのは、
もう遥か昔の事だけれど、

あの先輩のようになりたいと、
必死になって働き学ぶうちに、

一人前になっていった。
それは、この仕事に変わっても、

同じだ。

去年入った気遣いU君と、
良いライバル関係を作りながら、

成長をしていくんだよ。
と、むつみさんは、すっかりお母さんの気分か、

あ、いや、おばあさんか。

新人が入ってくる楽しさは、
この【成長を見られる】所にもあると、

思うこの頃だ。