綺麗な出来立ての蜂の巣を見た。
……………

本日は、会議日だった。
会議が始まる前、

シャイなO専務が、
何やビベロYちゃんに話をしていた。

それも、窓の外を指差しながら。
『どうかしたんですか？』

好奇心で聞いてみた。
『蜂の巣があるんですよ。』

シャイなO専務が指差した方を覗くと、
綺麗な模様の蜂の巣が、

隣家の軒先に出来ていた。
蜂の巣には、小さな穴が空いており、

蜂たちがブーンブーンと飛んでいる。
シャイなO専務曰く、

『これからが蜂の季節だからね。
早く取らないと、この一週間でもっと大きくなるよ。』

この、蜂の巣情報は、
モゴモゴN社長が隣家へすぐに伝えたらしい。

それにしても、
蜂に季節があるなんて知らなかった。

私は人間以外興味がなくて、
特に、花、虫、動物に関する知識は、

小学生にも負ける。
この仕事に入ってから、

樹種名は覚えたけれど……
だから、蜂に繁殖時期があるなんて、

まして、その時期に、
蜂の巣が大きくなるなんて！

うそおお！の気分だ。

『これからが、一番子どもを産むからね。
すごい勢いで、蜂の巣が大きくなるんだ』

シャイなO専務が続けて言った。

私は、現場にも行く。
庭木や山の木の調査が多いから、

蜂にも出くわす。
それが、怖いから、

年がら年中、
蜂避けネット帽子を離せない。

なのに、
多い時期に気が付かなかったなんて！

と思いつつ、
もう一度、蜂の巣を見た。

薄いベージュに、
茶色のマーブル模様が入った蜂の巣は、

まさに、新居の美しさ、
真ん中に空いた穴も、

楕円形に綺麗にくり抜かれ、
玄関の名に恥じない感じだった。

そうか、これが蜂の巣か……

あんなに怖い蜂なのに、
なんだか、見惚れてしまった。