日刊せみなりーBLOG
斗南病院…
更新日:2015/09/11
斗南病院が建て替えになる。
父も叔父叔母も、
北海道庁の職員だったから、
道庁のすぐ横にある斗南病院は、
私が子供の頃は、
《難しい病気になったら行くところ》
だった。
祖父も、斗南病院で亡くなった。
その頃の斗南病院は、
当時としては、近代的な病院だったと思う。
50年も前だが、
すでに、
ベットにカーテンが付いていた。
祖父の見舞いに連れて行かれたが、
9歳の私にとっては、
あまり行きたいところではなく、
(癌は痛くて辛い病気なのだな)
と思った。
そして、それから3年後、
今度は私が入院した。
今では、まったく問題のない病気だったが、
症状が重かったのと、
その頃出始めた《プレドニン》という薬を、
大量投与した事によると副作用の為だった。
入院初日、
ガラスで区切られた個室で、
眠れない夜を過ごした事を、
今でも覚えている。
そんな私が不憫だったのか、
父が東京出張の土産に、
私の大好物【びわ】を買ってきた。
『農水省の地下の売店には、
全国の美味しいものが並んでいるんだ』
そんなようなことを言って、
父は私に早生のビワをくれた。
その後、私の病状はパッとせず、
入院は3ヶ月近くになり、
入学したばかりの私立F中学校は、
休学することになった。
50年近く前なのに、
小児科に専門の保母さんを配置し、
カーテンで、
プライバシーを守っていた病院、
出始めたばかりの《ファンタグレープ》が欲しくて、
少し怖かったけれど通った霊安室近くの売店、
記憶のそこに眠っていたものが、
建て替え工事を見ていたら、
蘇ってきた。