日刊せみなりーBLOG

滝の上濁川……駅

更新日:2015/11/20

全道くまなく『馳せ参じます!』
のうちの会社は、

全道くまなく『お泊まり』するが、
地元にお金を落とす!が心情とは言え、

『宿泊場所はないみたい』と言う地域もある。

今回も、
調査場所は西興部だけれど、

宿泊は、滝の上にとった。
北海道の外仕事は、

ただいま雪との競争だから、
どこの宿屋も混んでいた。

『今日は、栄旅館というところです。』
今回の現場リーダー役の、

地味に明るいねあかのT君が言った。
1日目の仕事が終了し、

向かった宿は、
滝の上の外れの、古い駅舎近くにあった。

もちろん、今は鉄道はない。
上品で楽しい女将さんに迎えられた。

とても感じの良い笑顔と声に、
疲れた体がホッとした。

『お風呂は、ラドン温泉に行ってきます。』
私たちは、夕食前に近くのラドン温泉に行った。

入浴料440円は、銭湯並みだ。
駅前旅館に泊まるとき、

近くに温泉があれば、
そちらに行くことが多い。

夕食は、旅館の食堂で頂くが、
もちろん、ビールの持ち込みはOK!

みんなで、『ご苦労様でした!』と乾杯。
夕食は、心も体も休まる味だった。

二日目も、同じく温泉に入りに行き、
夕食を頂いたが、

他のお客様が帰ったこともあり、
女将さんとお話をした。

『すぐそこの建物は、駅舎ですか?』

『そうなんです。濁川駅です。
昔はね、滝の上から、渚滑駅まで、汽車が走っていたの。

滝の上は、林業の町だったから、
この濁川から、材木を積み込んでね。

人だって、紋別まで汽車で行ったわ。
今は、バスで旭川に行く事が多いから、

紋別にも、北見にも、
行かなくなった。旭川の方が早いから。』

創業が昭和34年というその旅館の歴史は、
北海道の戦後の歴史そのものだった。

『今は、町長も苦戦をしてます。』
と、女将さんは言った。

今朝、『お世話になりました。』
と、挨拶をすると、

その女将さんは、
玄関の板の間にきちんと座り、

『ありがとうございました』
と、手をつき頭を下げられた。

今時、
帰り際に座って挨拶をしてくれる旅館は、

わずかである。
夕べ、女将さんが言っていた『19年ぶりのお客様がいらしてくれる』

と言うのは、
女将さんの力なのだなあ、

と思った。
仕事関係から、サイクリングの方々まで、

リピーターが多いのも頷けた。
『でも、公共工事の方が多いから、

冬はほとんど開店休業なんですけれど
体が元気なうちは、やろうと思って。』

と言った女将さん声は、
張りがあって美しかった。

北海道の広い空の下、
色々な方たちが、

この地を支えているのだと思った。

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