日刊せみなりーBLOG

小樽のさかい屋さん

更新日:2016/04/10

昨日は、
小樽で会議があった。

小樽でNPOを立ち上げてから、
しょっちゅう、小樽に行くが、

昨日は、
会議の最後に残念な話を聞いた。

小樽には、
古い趣ある建物を利用したお店が数多くあるが、

その走りとも言える【さかい屋】さんが、
10月で閉店予定と言うのだ。

道新の後志小樽地区版に、
大きく取り上げられていた。

私たちは、これは一大事と、
会議終了後、さかい屋さんに向かった。

さかい通りに面し、
蔵と格子窓が目印のその建物は、

いつものように、
観光客を迎えていた。

店主の赤沢さん姉妹は、
『そうなんですよ。

新聞に書いてあった通り、
体力の限界なの』

と、仰っていた。
でも、この建物を、

そのまま使いたいと言う方も
おられるようで、

どうにか、
活用は存続出来そうである。

良かった!
と、ほっとして、

出された緑茶を頂くと、
美味しい!

『美味しいでしょ、これは深蒸し茶なの』
赤沢さんが仰った。

さかい屋さんは、
カフェの走りでもあるが、

ここで供されるものは、
味も保証付である。

私は、
カウンターに座っていたが、

大きな神棚が目に入った。
いつもは、

その神棚が置かれている古い金庫に目が行き、
気が付かなかった。

『いいでしょ、
このお店を借りた時からあった神棚なの。

水天宮様にお願いして、
祈祷して貰って始めたの。

きっと、この神様が、
このお店を守ってくれたのね。』

店主の赤沢さんの言葉を現すように、
その神棚は風格ある色合いになっていた。

小樽の古い建物を活用する
マッチングを始めてから、

つくづく思うのだが、
建物には、魂が宿っていて、

その建物の中で生きてきた魂が、
その建物や使っている方々を、

守っているのだと。
その代表選手が、【さかい屋】さんだ。

運河が一部分残り、
北一硝子が有名になり始めた頃、

堺町通りは、
今ほど人は多くはなかった。

その頃から、
店のコンセプトを決め、

迷いなく営業をされてきた赤沢姉妹には、
頭が下がる思いだ。

お店にお邪魔している間に、
これまた粋な花屋さんが、

入り口の
大きな瓶に活けられている花を、

変えていた。
建物と調度品と生花が、

さかい屋さんで頂くものと
一つになり、

心地よい満足感になっていた。
『でも、やっぱり、

お二人にやっていただきたいなあ。
どこかで、再開してください。』

とお願いしたが、
お二人は、笑いながら首を横に降っていた。

あー残念だわ。

《さかい屋さんのファンの皆様、
建物と営業は存続されるようですが、

赤沢姉妹が作り上げた【さかい屋】は、
10月までの営業です。

是非、おいでください。》

小樽の街は、
人と建物と商売で成り立っていることを、

教えてくれる店である。

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