会社の桜が満開だ！

今年は、
ブラインドを開けて

楽しんでいる。
4月のうちに満開になるのは、

久しぶりだ。
そして、

葉っぱが一緒に出ていない。
まるで、

本州の桜のようだ。

子どもの頃、
岡山生まれの母が

『北海道の桜は
葉も一緒に出るから

美しくない』
と、よく言っていた。

どうゆうこと？
と、思っていたが、

本州の桜を見て
納得した。

本州の桜は
まったくもって、

葉っぱがない。

今年の札幌の桜も
葉っぱがないが、

ちょぼっとは見える。
本州の桜はそれさえなくて、

本当に本当に美しい。
母の言葉の意味がわかった。

その母は、今年93歳になった。
23歳で岡山から札幌に嫁いだ。

色々苦労もして、
年とともに、

岡山を
懐かしむようになった。

『今帰ったって、
どうしようもないんだけど』

が、口癖。
そうだねえ。と返すが、

なんとも悲しい気分だ。
で、思いついた。

岡山に連れて行こう。

母は、
アルツハイマーだ。

すぐに忘れて同じことを聞く。
そして、

今日がいつかわからない。
時間の概念を忘れてしまうのが、

アルツハイマーの特徴だという。
だから、

壊れたレコードのように
同じことを言うが、

今は慣れて
同じ事を返せるようになった。

もちろん、
道も忘れるから

岡山に連れて行くのは
難しいと諦めていたが、

あまりに寂しがるので
連れて行こうと決めた。

本当は桜の時期が良かったが、
仕事の関係もあり、

5月のゴールデンウィークとなった。

母は
介護付きマンションに入っているので、

カレンダーに岡山行きを
書き入れた。

でも、
今日がいつかわからないので、

近づくにつれ、
『いつ？』と何度も言う。

本当に嬉しそうで、
その顔を見るにつけ、

決断をして良かった！
と思う。

母は、岡山に、
どうして帰りたいのだろうか？

姉が一人と妹が一人いる。
会うことも嬉しそうだが、

それだけでは無いように思う。

私は札幌生まれの
札幌育ち。

おまけに、
親の近くで暮らして

離れた経験もない。
だから、

岡山に帰りたいと言う母の気持ちが、
本当はわかっていないのだ。

母は、

『何を着て行こうかしら。
髪は変じゃない？』

と、
今日もウキウキしていた。

無事に行けますように。
私は後2日、

無事仕事が終わりますように！

さくら咲く札幌
春本番のようだ。