日刊せみなりーBLOG

時が経つのは

更新日:2019/02/16

昔働いていた職場の医師から
手紙が来た。

え!何事!

と、
慌てて封を切った。

だって、
その先生と一緒に働いていたのは

かれこれ
30年も昔のことだ。

と言っても、
仲が良い詰所で

何回か
同窓会と称して

看護婦と先生方と
顔を合わせていたが、

それもいつしか
年賀状のやりとりのみに

なっていた。

手紙には、
『解散式を行いたい』

と、
書かれていた。

解散式?
だが、

その病院は今もあるけれど、
当たり前に30年前の人はいない。

当時、
その詰所は出来たばかりで

私は主任、友が婦長、
そして、

よくぞここまで集めた!
と驚くほどの新米看護婦ばかりだった。

その中に
数名、できる看護婦がいるだけだった。

私は2年間しか、
その職場にいなかったが、

未だにそのメンバーは
一人残らず覚えている。

お医者様も
ベテラン一名、

若い子持ちの女医さん一名と
研修医一名だった。

今思い出してもよく働いた。
というか、

働かざるを得なかった。
でも、

私はスタッフ全員がこの上なく
可愛かった。

何?こんなことも知らないのか!
と、

毎日驚きの連続だったが、
患者さんの命を守るためには、

スタッフに仕事を教えながら
自分もゼーゼー言いつつ働いた。

私が退職後、
何度か同窓会でスタッフみんなと会うと、

それぞれに
驚くほどの成長で、

嬉しくなった。
中には、

婦長になっている子もいた。
彼女いわく、

『主任さんにいっぱい愛してもらったから、
今私もスタッフのこと、いっぱい愛しています』

何よりも嬉しい言葉だった。

今回の手紙は
そのスタッフではなく、

女医さんからだった。
すでにベテラン医師は、

第二の人生も
引退の時期を迎えたという。

ならば、
あのメンバーで解散式を盛大にやろう!

と、
なったらしい。

そのベテラン医師はN先生。
飄々として肩に力を入れない医師だった。

懐かしい!
もちろん、すぐ返事を書いた。

出席します!

私は人生に無駄なことは
全くないと思っている。

どんな未熟な
看護婦たちの集団であっても、

あそこまで成長できるのだ。
私を支えたのは、

婦長に対する信頼と
スタッフへの愛情だけだった。

多分、

私の管理職人生の
基盤を作ってくれた2年間だ。

人は皆、
成長する。

自分も人も。
だから、

どんな時でも
ともに働く仲間を信じて愛することが

なによりも大切だと
学んだ。

解散式とは
N先生らしいが、

それは
あの時の仲間全員が

次のステップに上がる時だと
理解した。

今の私には、
未だ多くのスタッフがいる。

愛情を注げる仲間がいることは
最高の幸せなのだと、

解散式の便りに改めて思った。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。

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