年度末に向けて、
追い込みをかける社員たちを横目に、

むつみさんは、
セミナーに行く。

受ける側ではなく、
話す側。

親から貰ったわずかな得意技が
話すこと。

なので、
苦にはならない。

で、
その内容は割愛し、

午後からは
法務局やらなんやらに行き、

気がつくと、
5時。

あ！遅くなっちゃった！
と、会社に電話を入れて、

直帰することにしたのだが、
驚いたのは、

大通りから
ススキノに向かう人の波。

なんじゃあ！
というほどの人たちが

地下街を
ススキノに向かって歩いていた。

そうかあ
明日は祝日、春分の日だ。

飲みたくなるよなあ。
と、昔、飲兵衛だった頃を思い出す。

街中に職場のある人たちは、
こうやって、

仕事が終わったら
飲みに行くのね。

それにひきかえ、
うちに会社の社員は可哀想だ。

なんてったって、
川沿は札幌のハズレだもの。

私はまだ飲兵衛だった頃、
と、しつこいが、

実はわたくし、
去年の2月まで、

酒豪だったのだ！
私の人生から、

アルコールが消えるなんて
予想もしたことがないほど、

むつみさんといえば、
お酒！

だったのに、
ある日、ノンアルビールでも、

酔うようになった。
がーーーーーーーーん

これ以上のショックはない。

若い頃、私は、

子供たちが巣立って、
夫婦二人になったら、

中島公園の中古マンションを買うと
決めていた。

なぜなら、
ススキノが近いから。

仕事が終わったら
毎日飲みにいける喜び！

あー何よりにも変えがたい。
と、思っていた。

お酒は、
ジンとバーボン、焼酎以外は

なんでも飲んだ。
日本酒は、

飲んだことがない酒蔵のものを見つけたら、
絶対飲む。

ウイスキーはストレートを
好み、

ブランデーも大好き。
一本空けたこともあった。

だから、
カクテルはショート。

だったのに、
中島公園のマンションに住む意味もなくなり、

このまま
ずーーーーーと

川沿の予感。
それも良いか。

と、
思いながら、

地下街をススキノに向かう
軍団としか思えない人の波を見送った。

まあいいか。
家に帰ったら、

牛乳でお菓子でも食べよう。

それにしても、
なんでお酒、

飲めなくなったのかしら。
ススキノが私を拒否した？

あー残念。

札幌のススキノは
いまだ健在のようである。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。