日刊せみなりーBLOG

地に生きる

更新日:2019/07/31

うちの会社は、
札幌にある。

100万都市どころか、
もうすぐ200万都市に、

なりそうな札幌にだ。
場所は南区川沿。

南区は、
面積的には札幌市の60%を占めるけれど、

そのほとんどは山。
で、人口は14万に届かず、

一番少ない。
まあいわば、自然の宝庫だ。

その中でも、
会社がある川沿は人口17000人弱。

どうしてかはわからないけど、
手稲や白石、新川のように都市化はせず、

国道を挟んで
真駒内公園があり、

しばらく行くと
十五島公園、そして定山渓温泉と

続く。
なぜ、父が自宅を建てる場所に、

川沿を選んだのか、
わからないけれど、

都市の喧騒がない静かな場所である。
そして、

父は自宅を事務所に起業したので、
そのまま、

会社が大きくなると、
父は、

実家の裏に社屋を建て、
社員が増えると増築し、

今に至っている。
社員たちは皆、

札幌に勤めているのに、
この場所?

と、
思っているのか、

いないのか。
自宅通勤以外の若者社員は、

地下鉄沿線の
澄川平岸方面に住居を構え、

自家用車若しくはバス、
および自転車で通勤している。

普通は、
郊外から街中へ通勤だけど、

逆である。
『混まなくていいんじゃないですか』

が、
社員の感想である。

私自身は、
南23条の官舎で生まれ、

17歳の時、
川沿に引っ越してきて、

それからズーーーーと
川沿で暮らしてきたけれど、

家と職場の往復で、
川沿に大した親近感はなく、

大酒飲みの時は、
子どもが巣立ったら、

ススキノの横、
中島公園のマンションに移りたいと、

真剣に考えていたくらいだったが、
先日、

ふと思った。

もっと、
会社が生まれ育っている地に、

愛着を感じて生活をした方が
良いのではないか?と。

アイヌの方々は
土地への思い入れが強い。

というか、
土地には魂が宿っているから、

その魂を敬い
大切に暮らさなければならないと

子孫にも教えているそうだ。
だからこそ、

ダム建設では
合意が難しかったのだろうが。

私も年齢を重ねたせいか、
アイヌの方々ほどではないにしろ、

自分たちは生業を行なっている土地、
地域を大切にしなければ、

事業はうまくいかないのでは?
と、思うようになったのだ。

小樽には小樽の歴史があり、
夕張には夕張の歴史があるように、

札幌には札幌の歴史があり、
川沿には、

川沿の歴史があるのだから。
と、

思っただけで、
今まで特別の感情を持っていなかった川沿が

愛おしく感じ出した。
父も逝き、

当社が産声をあげた実家は
もぬけの殻だけれど、

父の起業の魂は
川沿の地で生き続けられるように、

精進したいものだと思った。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役中野むつみでした。

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