日刊せみなりーBLOG

偶然の意味は

更新日:2019/09/09

偶然かもしれないけれど。

所用で街に出て、
会社に戻ろうと真駒内からバスに乗った。

暑い、暑すぎる。
今日はバスの冷房も気にならない。

で、
よっこらしょ。と座った。

バスを待つ間、
なんとなく、

ホームに暮らす母のことを
考えていた。

昨日は母に会いに行けず、
それもやっぱり気になっていた。

母のホームは
乗ったバスの沿線にある。

寄ろうか、
どうしよう。

今行っても、
リハビリ中かしら。

やっぱり、
まっすぐ会社に戻ろう。

と、
思ってバスに乗ったのだが、

バスが動き出してすぐに
携帯電話が鳴った。

そのままにしておこうと思ったが、
一応着信先を見たら、

母のホームからだった。
なんと!何かあったのかしら。

後ろのバスの座席だったので、
小さな声で電話に出た。

『すみません、
今、バスの中なのですが、

何かありましたか?』
と言うと、

『電話ができるようになったら、
電話をください』

と、
ホームの方は言って電話を切った。

そんなに慌てた風もなかったので
緊急ではなさそうだ。

と、
思ったが、

次のバス停が
母のホームに行くバス停だ。

これは、
来いという母のメッセージではないか?

と思い、
私は降車ベルを押した。

ホームに着くと
師長さんが、

母のことを話してくれた。

たいしたことはないのだが、
午前中に病院に行ったという。

『明日は、
耳鼻科にも行く予定です。

今、疲れたのか、
おやすみになっています』

師長さんは優しく言った。

平日に母のホームを訪ねることは
あまりない。

母の部屋に入ると
母はベッドで眠っていた。

病院の受診は
ホームの車で看護婦さんが付いてくれる。

安心だが、
94歳の母にとっては、

外に出ることさえ
疲れるのだろう。

母の寝息は小さくて、
大丈夫かしら?と、

思わずのぞいてみたくなる。

母の顔には
シワが少ない。

昔からきめの細かい肌で
ほうれい線が出ないタチらしい。

なんで私は似なかったのかしら。
と、文句が出る。

似たのは
寝ている間に

なぜか
眉間に皺を寄せること。

これはうちの長女にも
遺伝した。

父も
夫も
婿さんも、

これがどうにも不思議だと
言っていた。

特に悩み事があるとか
苦しいとか

ではなく
ただの癖だ。

母の寝顔を見ていたら
私まで眠くなってくる。

しばらくすると、
母はゆっくり目を開けて

私を見た。

来てくれたんだね。
ありがとう。

と、
言った。

母は外に出たいと言う。
夕食前だったので、

車椅子で外を散歩することにした。
母はなにを話すと言うわけでもないけれど、

満足したようだった。

ホームに戻ると
夕食だ。

『次の日曜日にまた来るよ』

私が来たことも忘れるけれど、
嬉しかったと言う感情は忘れないと言うから、

やっぱり
寄ってよかった。

母に呼ばれたのか
私が来たかったのか

偶然に来た電話に感謝である。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役中野むつみでした。

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