『ねえ～早や打ちＫちゃん、これって、アドレス　あっている？』

近頃、近視・乱視・老眼に拍車がかかり、細かい字が見えにくい。

特に、名刺・ＦＡＸに書かれているメールアドレスが小さい時は・・困る。

『はい・・・・あ・これはeですね。』

『何々・・eなの？oかと思った・・・』

『はい・・・・あ・これはlですね。』

『そうなの？・・l？iかと思った。』

その度に仕事の手を止められる方は　たまったもんじゃないだろうが、

素直に『はい』とニッコリしてくれるので、気持ちが救われる。

人に何かを頼む時は　これでも結構　気が引ける。

社内をくるりと見回して、

“声をかけるなオーラ”を出している社員は　外して声を掛ける。

余り“殺気立つ”という言葉とは無縁のうちの会社だが、

それでも、『二時までに持っていくことになっているんです。』

なんて時は、あらあらあら・・・・大変そう・・・である。

自分が年齢を重ね、知らず知らずのうちに人に何かを頼む事が増えると、

頼む側の気持ちがわかり・・・・・

看護婦時代の自分を、後悔したりすることが多くなった。

『あ・ごめんなさい、後で来ますから・・・』

『あ・ごめんなさい、それは眼科の看護婦さんに聞いてください。』

『あ・チョッと　待って下さい。』

『調子はいかがですか？』と聞きながら、

身体は既に隣の患者さんに向かっていたりする。

戦場のような病棟時代も、一般外来なのにＥＲみたいな外来時代も、

いつも走っていたむつみさんの看護婦時代。

“どんなに忙しくてもゆったりしていなさい”という大先輩の言葉の意味の重みは、

若い時は感じられなかったようで・・・・

大先輩と同じ年になった昨今は反省しきりだ。

『むつみさん、そろそろメガネ買ったらどうですか？』

チェックマンＡ子さんが今日も言う。

『それがさ～美人はメガネで三分上がるけど、ブスは三分下がるから、

中々踏ん切りがつかないのよ～』と答えたら・・

『ワンデーコンタクトもありますよ～』

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やっぱり、暫くは　みんなのお世話になろう・・・