『ラガーマンMく～ん！
帰らないで、泊まって行って~、ねえ～お願い～』

『いえ、だめです。』

『そんな事言わないで、泊まって行って～』

別に愛の告白ではない。
2回目に行った室蘭の現場の話し、

補償チームの仕事に立木の調査があるが、

今回は土砂崩れを防止する工事をする前の、
そこに生えている木の調査だ。

土砂崩れを防止しようとするくらいだから、場所は急傾斜地・・
でも、前回の続きだから・・

『ラガーマンM君は忙しいから日帰りで帰ってくれていいよ～』
見込みは楽勝！楽勝！・・だったのだが・・

調査面積は前回より狭いが、超急傾斜・・
土は柔らかく足を乗せると滑り落ちる。

そこに、びっしりと庭木が植えてあった。

前回の急傾斜地調査で奮闘したモゴモゴN社長は腰を痛め、
『ふ～きっついな・・・』

余り当てにならない・・

時間と体力だけが減っていき・・・
調査は遅遅と進まない。

ラガーマンM君は、名前の如くスポーツマン・・
運動神経抜群で急斜面もなんのその・・

むつみさんの10倍位のスピードで・・
『オンコ～幹周15センチ！』・・早い！早い！

任せなさい！なんて言った事を、忘れ、
『帰らないで～』となったのだ。

『いや～泊まる準備していないし・・汗と雨でどろどろだし・・
会社に戻って仕事したいし・・・』

『服は買ってあげるから・・パンツと靴下もいる？
ドンキホーテがあったわよ～』

急傾斜地の笹につかまり、
ふらふらしながら、か細い声で言う私に、

『仕方ない・・泊まります・・』

ほっ・・・とした。

昔・昔・・モゴモゴN社長が40代前半の頃、
『行け~！』とばかり、急傾斜地を駆け上がり・・

（なんて・・頼もしい・・）と思っていたが・・
世代交代・・なんだ・・。

『次ぎはラガーマンM君の跡継ぎを考えないとね』
『俺、まだまだ出来ますよ～』

ラガーマンM君、時が経つのは早いのだ。
今から・・準備・準備・・

知力体力備えた青年を捜さなきゃ～！