暖かい。
このまま春になるのだろうか？

川沿のパン屋さん
カキツバタさんのお庭には、

すでに白い花が咲いていた。
なんとかという花で、

さっきまで
名前を覚えていたのに、

書き留めておかなかったら、
忘れてしまった。

この花、
春に一番先に咲く花だそうだが、

それが
一ヶ月も早く咲いたそうだ。

このパン屋さんは
裏手が広いお花畑になっていて、

ガーデニングというのか
散策もできるのだが、

そこはまだ
雪の世界だ。

パン屋さんに言われるまで、
入り口に咲く白い花に気がつかなかったが、

言われてよく見たら、
葉っぱはスズランのミニチュア版、

背丈は10センチくらいで
白い花はスズランより大きくて、

でも、
鈴のように

ぶら下がっているのは
一緒。

こんな表現ではわからないか。
とにかく、可憐な花だ。

パン屋さん曰く、
『花は例年より小さいみたいです』

なるほどねえ。
雪の下では、

花の種たちは眠っているのだろう。

人間だって
寝る子は育つ！

のだから、
花の種も春が早く来て

睡眠不足なのだろう。
もうちょっと寝せておいてよう！

というところかしら。
そういえば、

熊も、
すでに見かけた！というニュースが

あったっけ。
いやはや、

人間だって、
睡眠の途中で起こされたら機嫌が悪くなる。

熊さん、
どうぞゆっくり寝ていてください。

本来なら
まだ雪深い季節ですから。

花だって
地中の中でエネルギーの充電が必要だろう。

そう考えると
自然ってよくできている。

雪が降って
全てが消えてしまうように見えるけれど、

雪は寒さを遮断し
凍ることを防いでくれて

土の中で
種の成長を助けてくれる。

雪が溶けて
日差しが暖かくなり

土も温かくなったら
種も、

うーんと伸びをして
あくびなんぞしながら

目覚めるのかなあ。
気持ち良いだろうなあ。

その小さな白い花も
今日のお日様を浴びて、

キラキラしていた。

生まれてこのかた
60回以上も春を感じてきたけれど、

今年くらい
春を温かく感じた年はない気がする。

もしかしたら、
私に春が来ているのかも知れない。

まあ
年増の春だけれど。

春が早くて小さく咲いた花は
時間をかけて大きく育つのだろうか。

人生様々
小さく生まれて大きく育つ人もいれば、

大きく生まれて
大きく育つ人もいる。

そして
時期外れに伸びる人もいる。

人生様々
みんな、春を楽しもう！

なんだか
そんな気がしてくるあったかい春である。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。