日刊せみなりーBLOG

親子馬

更新日:2019/08/06

昨日見た新冠の風景は
とても美しかった。

サラブレッド銀座と言われるだけあり、
草原の中で、

親子馬が草を食む姿は
見ているだけで心が優しくなる。

厩舎は、
赤を入れたお洒落な外観で、

ここはどこの国?
と思うような日本離れした風景だ。

新冠は、
海辺の近くは靄って涼しいけれど、

山の方に上がるにつれて気温も上がり、
馬たちも暑そうだったが、

それでも時折、
親子で走る馬たちもいた。

去年の何月だったろうか、
女性経営者の勉強会で、

早来のノーザンホースを訪ね、
吉田社長から競走馬の飼育について、

お聞きしたことを
思い出した。

日高地方は競走馬の産地だが、
馬は一定期間、

母馬と仔馬を共に育てる。
これは絶対的に必要なことで、

そして、
ある日、強制的に母馬から

仔馬を引き離すそうだ。
これもまた絶対的に必要なことだが、

この引き離しが
誠に辛いものらしい。

母馬も子を思って泣き叫び、
仔馬も母馬を追いかけて暴れるそうだ。

そして、
仔馬は母馬がいなくなったことに、

しばらく
不安な状態になるらしい。

ノーザンホースでは、
この時、

おばあちゃん馬を仔馬と一緒に入れて、
仔馬の精神状態を落ち着けるという方法を

取っていると聞いた。
人間でも馬でも、

親離れ
子離れするのは

大変なことなのだとその時思ったが、
改めて仲の良い親子馬を見ていると、

この馬たちも
あと数ヶ月で、

別れがやってくるのかと思い、
感動的な美しい風景なのに、

なんだか少し
悲しくなった。

どうも人的に引き離すということが
私の中で悲しみを増幅させているようだ。

自然界の中で
親子がずっと一緒なのは

人間の世界くらいで
どんな動物も子離れをして、

いや
親離れをして

一人前になっていく。

まあ親離れというより、
母親離れだろうけれど。

母は
自分の体内に別の生命を宿し、

この世に送り出す。
哺乳類なら、

自分の血を
おっぱいという甘い飲み物にして、

子に与える。

お腹の中でも、
産んでからも、

自分の命を与えて
別の命を育む。

これ以上の利他が
あるだろうか。

そして、
ある日、子どもは巣立っていく。

野生の馬の子離れは
どうやって行われるのだろうか。

それとも、
子離れはせず、

集団でそのまま過ごすのだろうか。

母親から、
親離れした気でいる自分、

子どもたちから、
子離れした気でいる自分。

新冠の親子馬に自分を投影させ、
少しおセンチになった昨日だった。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役中野むつみでした。

記事一覧