朝、
小樽で打ち合わせがあり、

焦って家を出た。
待ち合わせ時間は10時なのだが、

川沿から公共交通機関を使うと、
2時間はかかるのだ。

おまけに、
朝は快速がない。

で、
札幌駅に着くと、

あ、急げ！状態で、
普通の小樽行きに乗った。

いわゆる鈍行だから
一駅ごとに停まる。

まあ悪くはない。
ぼーっとしていたが、

そのうちトイレに
行きたくなった。

うーん
汽車のトイレに入るまでもないけど、

うーん
行き先の南小樽駅で

用を足すか。
うーん

と、
悩むのは、

南小樽駅のトイレが古いことだ。
まあ、洋式だから良しとしよう。

贅沢といえば
贅沢だけど、

駅のトイレは重要だ。
で、

南小樽駅で降りて
トイレに行くと、

ややややや！
トイレが綺麗になっている！

思わず清掃中のおばさんに、

『トイレが綺麗になってる！
めっちゃ嬉しい！』

と、
声をかけた。

ら、
『そうなんですよ』

と笑って返してくれた。
いやあ、良かった！

綺麗な便器は暖かい。
これ以上の幸せはない。

とニコニコしながら
トイレから出たが、

あれ？
車椅子用トイレがあったかな？

と気になった。
南小樽駅のトイレは、

事務室側にあるので
ちょこっとわかりにくい。

気になってキョロっとしたら、
あれ！あんなところに

車椅子マークがある。
改札のすぐ横だ。

以前はただの壁だったから、
増築したのか。

赤ちゃんのおしめを替えるスペースも
あるようだ。

ここなら段差がないから
広いし良かった！

と思ったが、
よく考えたら、

南小樽駅自体が
階段でホームに降りるタイプで

おまけに
古い駅舎だからエレベーターがない。

あー
せっかく車椅子用トイレがあっても。

でも、
この古い駅舎は

小樽の宝の一つだから、
どうにかして上手くエレベーターを

つけられないかしら。
と、考えていたら、

なんと！
エレベーター増設工事のポスターが

あるではないか！
ええええ！！！！

どこにつけるの？
と、駅のお姉さんに聞いてみたら、

駅舎の横側、
窓のあたりから、

廊下を伸ばし
エレベーターをつけるらしい。

おおお
それなら、

古い駅舎も
味わいある鉄橋も

そのままで良いわけだ。

良かった！
ただし、工事が終わるのは、

2年も後だという。
駅を締めるわけには行かず、

夜間の工事のみで行うためだ。
すごいなあ。

古い駅舎を残してもらえるのも
嬉しかったし、

車椅子用トイレや
エレベーターの設置も

嬉しかった。
ふと、

今までは車椅子用トイレも
エレベーターも

そんなに
気にしていなかったのに、

と思って気がついた。
それは今年知り合った友人が

『障がい者当事者の話を聞く会』を
主催されておられて、

私も二度ほど会に参加した。
たった二回なのに、

私は車椅子用トイレが
気になるようになっていた。

そうかあ
啓蒙活動って

こういうことなんだなあ。
とわかった。

小さな一歩が大きいのだ。

その友人の名は
牧野さん。

自らが車椅子に乗る女性建築士である。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役 中野むつみでした。