日刊せみなりーBLOG

オムレツに思う

更新日:2020/06/25

思い出の味には、
勝てないの話。

ハリマオウN社長こと夫は、
料理の味には煩くない方だ。

というより、
肉ならバター焼き、

魚は鮭で
塩焼き、

野菜はない方が良い。
鶏皮の焼き鳥塩味なら、

毎日でもOK
と言う有難いというか、

作り甲斐がないというか、
の人だが、

結婚したてから
自分で作るほど好きだったのが、

ひき肉のオムレツだ。
それも、

フライパンの形で
まるまんまだ。

夫が自分で作るときは、
ひき肉、玉ねぎを

バターたっぷりで炒めるから、
ジューシーを通り越して、

油だらけ。
だが、

私は
オリーブオイル少々なので、

夫はいつも
不満そうだった。

が、
つい先日、

ポツリと言った。

『お袋が作るオムレツは、
フライパンまま食卓に上がって、

切り分けた中で
一番上の兄貴が

いつも一番大きなやつを
取るんだ。

それが悔しくて』

それで初めて、
夫が好きなオムレツは

義母の思い出の味だったと
知った。

通りで、
どう作っても

今一つの顔を
していたはずだわ。

親の味って
そんなものじゃあ

ないだろうか。
義父母は、

とても優しくて
いつも夫婦二人で

出歩いていた。
釧路にいるので

うちの孫たちには
滅多に会えないけれど

時々、
宅急便で

お菓子などを
送ってくれたっけ。

一度だけ、
三女のハンドボールの試合が

釧路であり、
知らせると

夫婦で観に行ってくれた。
ちょうどそのとき、

三女が試合で膝を傷めたが、
監督が、

『動けなくてもいいから
そのまま出ていろ』

と、指示し、
娘は試合に出続けた。

それを観ていた義母は、
『ばあちゃん、あの先生嫌いだ。

瑞穂が怪我してるのに
出した』

と、怒っていた。
そんな素直な優しさを

持った人だった。
ちなみに、

監督の名誉のために言うが、
娘の声と元気さが試合には重要で、

ただ存在するだけで、
良かったそうだ。
47B5CFDE-1F54-4D71-BE9A-B4FFCC22EE8C
義母は、
『私は主婦の手鏡くらいだわ。』

と、
自分で言うくらい、

料理も普通だったと思うが、
義父の砂糖好きを考えた味付けは、

めちゃくちゃ甘くて
びっくりだったが、

義父はとても
喜んで食べていたし、

多分、
息子たちも

その味で
育ったから

本当は甘い味付けが
夫も好きなのかも知れないが、

今は私の
砂糖なし味を

美味しいと言って
食べている。

私は義母が作った、
フライパンのまま

食卓に登るオムレツを
食べたことがないけれど、

どう作っても
夫の思い出の中の味には

ならない気がする。
狭い社宅の丸いちゃぶ台を囲み、

兄弟3人と
取り合いをしながら食べたオムレツ。

フライパンのまま、
うちでも出したことがあるが、

夫は
嬉しくなさそうだった。

そうだよなあー

優しい義父母を
思い出してちょっと

寂しくなった。

お節介の達人
マチづくりのご相談承り役中野むつみでした。

記事一覧